和歌山県田辺市の資産家で“紀州のドン・ファン”こと野崎幸助さん（７７）が死亡し覚醒剤成分が検出されたことに関連し、５月６日に死んだ愛犬「イブ」について、野崎さん夫婦に「土葬」か「火葬」か埋葬法を巡る意見の対立があったことが８日、分かった。

　イブの葬儀（５月８日）で読経した寺の住職によると、野崎さんは土葬を、妻は火葬を望んでいたという。

　野崎さんは、前妻と結婚した２００３年ごろからイブを飼い始めたとされる。住職は本紙の取材に「ペットというより、家族と思っておられた感じでした。当初から土葬を主張されたのは、身近にイブちゃんを感じていたかったのでしょう」と話した。火葬を望んだ妻については「腐敗する前に早く弔ってあげたかったのでしょう」とした。

　最終的には、妻が野崎さんに折れる形で土葬に同意。死後６日の５月１２日、イブはドライアイスを敷き詰めた高級ブランドの箱に入れられ、自宅庭に埋められた。埋葬には住職も同席。野崎さんは紫のスーツという“正装”だったが、妻はデニムのジャケットという普段着だった。法律上、ペットの死骸を私有地に埋葬することに問題はなく、土葬でも火葬でもいい。

　先代の住職が野崎さんと親しかったことから、イブの葬儀の依頼を受けた。お布施は「１５万円。規模からいえば通常より多め」だったという。野崎さんの死は新聞で知ったといい「ビックリしました。自ら死を選択するような悩み、体の不調、変化は見受けられなかった。覚醒剤を飲むようなことは、よほどのことがない限りあり得ない」と語った。

　イブの死骸は７日、県警によって掘り起こされ県外の専門機関に運ばれた。もがき苦しんだとされる突然死について、薬物反応などを調べているとみられる。イブを溺愛した野崎さんが殺すとは考えにくく、仮に野崎さんとイブから同じ薬物反応が出た場合、何者かに殺害された可能性が高まる。

＜成分判定難しい火葬＞　イブの体内から覚醒剤などの薬物反応は出るのか。都内の獣医師によると「土葬であれば覚醒剤の薬剤が体内に入っていたかどうかの成分は分かるのではないか。火葬は成分が飛んでしまうので難しい」という。ただ、死後１カ月以上たっているため「もしも病死であっても、どこかにがんがあったのか、なんの病気だったのかというような死因の特定はできないと思う」と話した。

6/9(土) 7:39
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