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“認知症”行方不明者 延べ1万5800人余 過去最多
2018年6月14日 19時06分

認知症やその疑いがあり、去年、行方不明になった人は全国で延べ1万5800人余りと、これまでで最も多くなったことが警察庁のまとめでわかりました。

警察庁によりますと、認知症やその疑いがあり、はいかいなどで行方不明になったとして、去年、警察に届け出があった人は延べ1万5863人と、前の年より431人増えました。

5年連続で1万人を超え、統計を取り始めた平成24年以降で最も多くなりました。
このうち、98%の人は去年のうちに所在が確認されました。

また、過去に行方不明の届けが出され、去年、死亡が確認されたのは470人でした。

警察は認知症の人の特性を理解して支援する専門の講座を警察官に受講させたり、自治体から提供された認知症のお年寄りの顔写真などの情報をデータベース化したりして早く見つけられるよう取り組みを強化しています。

一方、認知症以外も含めた去年の全国の行方不明者全体の数は前の年と同じ延べ8万4850人で、このうち、犯罪に巻き込まれたり、自殺をほのめかしたりして生命に危険が生じるおそれなどがある「特異行方不明者」は、神奈川県座間市のアパートで9人が殺害された事件の被害者も含めて5万5939人でした。

警察庁は、事件や自殺の可能性のある行方不明者について、引き続き、迅速に対応したいとしています。

静脈で身元確認、QRコード活用…各地で見守り対策

認知症やその疑いがある人が行方不明になるケースが増え続けるなか、警察や自治体などが連携して早く見つけようという取り組みが始まっています。

各地のコンビニエンスストアでは、店と自治体が協定を結ぶなどして店員が買い物に来る高齢者などの見守り活動を行っています。

全国に5万余りの店舗があるコンビニの業界団体「日本フランチャイズチェーン協会」によりますと、去年1年間ではいかいするなどしていたお年寄りを保護した店舗は全国で9359店に上り、警察や家族に連絡するなど延べ1万6137回以上対応したということです。

群馬県では自治体と警察が連携し、認知症などの高齢者の手のひらの静脈をあらかじめ本人の情報と一緒に専用の端末に登録し、保護された際に端末に手をかざすことで静脈のパターンを読み取り、照合して身元の確認を行う取り組みを始めています。

県内では先月末の時点で422件登録されていて、隆起がなくなり、指紋が採りにくいお年寄りの確認に活用できるということです。

大手警備会社が開発した新たなシステムは、靴の中に小型無線機を入れ、専用のアプリをインストールしたスマートフォンを持つ市民におよそ100メートルまで近づくと、「自動的に」その位置情報が家族に送られ、居場所を把握することができるもので、北九州市などで実証実験が行われています。

愛知県犬山市では、「QRコード」が印字された布製のワッペンをはいかいのおそれのある人の服や帽子などに貼り付け、見つけた人がスマートフォンなどをかざすと、事前に登録していたニックネームや、お年寄りの症状などが表示され、家族に発見のメールが届くという仕組みの見守りサービスを行っています。