>>1のつづき

<解説>党派争いの火に油――アンソニー・ザーカー BBCニュース
ジェイムズ・コーミー氏は、ヒラリー・クリントン氏の私用メールサーバー問題への捜査でFBIの規範から逸脱した。
これがニュースだとは言い切れない。実際のところ、民主党も共和党も、理由こそ違えど同意することなのだ。
今回、司法省の監察官が論争に加わり、クリントン氏の不適切な機密情報の扱いをコーミー氏が起訴しないかったのは妥当だとしつつも、そのことを公にしたのは不適切だったと指摘した。
それだけではない。大統領選の直前にコーミー氏が書簡を議会に送ったのは「深刻な判断間違い」だったと述べた。
クリントン氏を支持する人々はこれに大きくうなづくだろう。
しかし、ことを複雑にしているのは、監察官はFBI内に存在する反トランプの空気を証明するような内容を暴露したことだ。
監察官はクリントン氏に対する捜査には政治的偏りはなかったと結論付けたが、トランプ陣営とロシアのつながりをめぐる疑惑への捜査に影響を及ぼすことは、監察官の任務ではなかった。
トランプ大統領や大統領の支持者たちが、FBIのピーター・ストロザック氏のメールに、トランプ氏の当選を「阻止する」と書かれていたのを盛んに強調し、大統領選の終盤1カ月でクリントン氏よりもトランプ氏への捜査を優先するという偏りがあったのを今回の報告書が示した、と言うだろう。
最終的には、監察官の報告書は党派争いの火に油を注ぐ結果になるだろう。そして、ロバート・ムラー特別検察官が現在するめる捜査に火が燃え移らないにするのは至難の業になるだろう。

終わり