量子科学技術研究開発機構は18日、青森県六ケ所村の六ケ所核融合研究所で、核融合炉に使う材料の強度試験の前提となる陽子ビームの加速に、世界初の手法で成功したと発表した。

 材料開発には核融合反応で発生するのと同等の高速中性子を連続照射できる装置が必要となる。高速中性子は、陽子と性質の似た重陽子をリチウムに当てると発生するが、今回の実験で重陽子ビームの安定的な加速に近づいたとしている。

 機構によると、日欧合同チームが13日、六ケ所核融合研究所に新設した加速器での陽子ビーム加速を実施。この加速器は、ビームの加速に用いる電波を八つの源から一つに集約する方式で、従来より大量の陽子ビームを長時間加速できるという。

 核融合では重水素とトリチウムを1億度以上に加熱して衝突させることで、エネルギーをつくり出す。日本や米欧などがフランスに国際熱核融合実験炉(ITER)を建設中で、核融合反応を発電に利用できるか実験する予定。

2018.6.18 20:42
産経ニュース
https://www.sankei.com/life/news/180618/lif1806180032-n1.html