北海道新十津川町のJR新十津川駅に今年4月に開設された「観光案内所」が、連日にぎわっている。「日本一早い最終列車が出発する駅」として全国の鉄道ファンの人気が高まる一方、同駅を含む札沼線(北海道医療大学―新十津川)の廃止問題が浮上したために、駆け込みで訪れる人たちが増えているためだ。案内所では「ご当地入場券」を販売したり、日付入りの「終着駅到達証明書」を無料配布したりして、出迎えている。

同駅は、1日1往復だけが運行する札沼線の終着駅で、毎日午前9時28分に到着し、午前10時に発車する列車は「日本一早い最終列車」として知られる。

 存廃問題で注目され、にわかに乗降客が増えたのを受けて、町は4月27日、使われていなかった駅舎の事務所を利用して観光案内所を開設した。毎日午前9時から午後5時半まで、地域おこし協力隊のメンバーら3人が交代で詰めて、客に対応している。「ご当地入場券」などを用意しているほか、休日などにはシバ犬の駅長犬「ララ」が乗降客らを迎える。

 毎日、大きなバッグを持った鉄道ファンらが訪れ、駅舎に置かれたノートには「1日1本感動」、「また来ます」などの寄せ書きが集まる。

 札沼線の廃止問題を聞いて訪れる客には、近郊の人も多く、札幌市の女性(68)は「列車からの景観も美しく、(なくなるのなら)もったいない。大人の遠足を楽しめました」と駅舎などを写真に収めていた。案内所によると、毎日15〜30人が列車で訪れるほか、マイカー客などもいるという。

 地域おこし協力隊の一員として観光案内所に詰める阿部武大さん(23)は「全国から来るお客様に日本一のおもてなしをしたい」と話している。

http://yomiuri.co.jp/economy/20180620-OYT1T50010.html