https://mainichi.jp/articles/20180623/k00/00m/040/141000c

高槻・寿栄小
塀の危険性3度見逃し 定期検査の業者
毎日新聞 2018年6月22日 21時57分(最終更新 6月22日 23時39分)

 大阪府北部を震源とする18日の地震で同府高槻市立寿栄(じゅえい)小学校のブロック塀が倒壊し女児が犠牲になった事故で、高槻市教委は22日午後、2014年に学校施設の定期検査をした業者がブロック塀を検査対象から外し、一切調べていなかったと発表した。さらに、17年の定期検査を担当した別の業者は塀を調べたものの、危険性を見落としていた。既に明らかになっている16年の市教委職員による簡易点検も含め、過去5年間で3度、事故のリスクを把握する機会を逸していたことになる。

ブロック塀などの学校施設は、建築基準法に基づき3年に1度の定期検査が行われる。市教委は事故後、記録が残る過去2回の検査を委託した業者を対象に聞き取り調査を進めており、22日午後に途中経過を明らかにした。

 発表によると、直近の17年1月の検査を担当した業者は、ブロック塀を目視で確認し、安全と判断した。14年2月の検査を実施した別の業者はブロック塀を勝手に検査対象から外し、その前(10年度)の検査結果を写して市教委に報告していた。市教委はこれらの業者の対応について、経緯を調査する。また、記録が保存されていない10年度以前の検査についても、さかのぼって業者に聞き取りをすることを検討している。

 市教委幹部は記者会見で「仕様書に沿った点検がされていなかった疑いがある」としたが、「業者の検査結果を市職員がきっちり確認しなかったことは、市に落ち度があった」と認め、陳謝した。

 事故が起きたブロック塀の点検を巡っては、市教委の職員2人が16年2月に簡易点検していたことが明らかになっている。外部から危険性を指摘され、建築職を含む学務課の職員2人が目視による確認や金属棒でたたく打音検査をした。傾きやひび割れなどがなく、「安全性に問題はない」と判断したが、塀の構造自体が法令に反していることには気づかなかった。

 また、市教委によると、過去の卒業アルバムから、ブロック塀は1977年度には存在していたことも判明した。当時の高さ制限(3メートル)にも反し、違法だったことになる。

 18日の地震では、寿栄小のプールの外壁にあたるブロック塀が約40メートルにわたって通学路側に倒れ、登校中だった同小4年、三宅璃奈さん(9)が下敷きになって亡くなった。

市教委はブロック塀について、基礎部分(高さ1.9メートル)にコンクリートブロック(1.6メートル)が積まれて計3.5メートルの高さがあり、建築基準法が定める基準(2.2メートル以下)に適合していなかったことを認めている。浜田剛史市長も三宅さんの両親と面会し、「市に責任がある」と謝罪した。【池田一生、津久井達、大久保昂】

ブロック塀が倒壊し女児が犠牲になった現場を調べる捜査員ら=大阪府高槻市で2018年6月18日、久保玲撮影
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