2018年7月1日 11時42分
 4月から栃木県内全域で展開された大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」が30日、フィナーレを迎えた。1999年春以来の開催となった今回は、入り込み数2500万人、宿泊者数220万人を目標に、「本物の出会い 栃木」をテーマとした様々なイベントを展開。大田原市の禅寺「雲巌寺」など新たな観光名所に注目が集まった一方で、観光客の分散などで苦戦した企画もあり、明暗が分かれた形となった。

DCはJRグループ各社と県や市町が協働で観光誘客に取り組む観光企画。県内全域で「花」「食」「歴史・文化」「自然」「温泉」の5テーマに基づいたイベントが展開された。

 3か月間の入り込み数、宿泊者の集計数は未発表だが、福田知事は6月26日の記者会見で、「各市町長、旅行・観光関係者の方々に『大勢の客に来てもらって賑わっている』『DCは成功だ』と言っていただけている」と発言。「入り込み客については目標を上回るだろう」と手応えを口にした。

 宇都宮市では有名ギョーザ店が並ぶ市中心部の「宮島町通り」を「餃子ぎょうざ通り」と命名。JR宇都宮駅の観光案内所ではギョーザに関する問い合わせは前年の約3倍に増加し、市中心部を訪れる観光客も増えたという。

 矢板市では名瀑めいばく「おしらじの滝」が雑誌やテレビなどで取り上げられ、「滝めぐり」を楽しむ観光客が増えた。同市によると観光拠点「山の駅たかはら」の4、5月の利用者数は約2万1000人で、昨年同期と比べ約6200人増となった。

 一方、日光市山内の日光東照宮は、4月から6月28日の参拝者が64万3098人で、前年同期(76万8493人)に比べ16%減となった。東照宮の担当者は「DCによって県内各地に観光客が分散したのではないか」と話している。

 国宝・陽明門が「平成の大修理」を終えて公開された昨年3月から今年3月までは前年実績を上回っていたという。東照宮の担当者は「今年は梅雨明けも早く、今後に期待したい。2年連続の200万人台を達成し、県内の観光振興に貢献したい」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180701-OYT1T50011.html