7/2(月) 15:43配信
神戸新聞NEXT

 2017年5月、兵庫県多可町の小学5年の女子児童=当時(10)=が自殺した問題で、町教育委員会が設置した第三者委員会は2日、自殺の要因を嫌がらせなどのいじめや、「女子グループ内のいびつな社会関係への疲弊感」とする調査結果を発表した。学校はいじめのサインを把握する一方で、組織的に対応していなかったと指摘した。

 女児は17年5月1日、自宅で自殺を図り、亡くなった。町教育委員会は同年7月、学識経験者や医師ら5人でつくる第三者委を設置し、いじめと自殺の関連などを調査してきた。

 報告書によると、女児が属していた5〜10人のグループでは、数人の加害児童と加害者にも被害者にもなり得る児童がいたという。流動的な状況の中で、被害者と加害者が入れ替わりながら、悪口を言ったり、仲間外れにされたりすることが断続的に行われていた。

 女児は16年11月ごろから仲間外れにされることがあり、17年4月にはグループ内の児童から蹴られるいじめがあり、徐々に孤立し追い詰められた結果、自殺を図ったと結論付けた。

 同校はいじめのアンケートや、児童のストレス状態を確認する「ストレスチェック」を実施しており、女子グループの行動に注意を払っていたが、女児へのいじめは認識しておらず、校長や担任が個別に対応するなど、校内の委員会を中心とした組織的な対応は取っていなかったと指摘した。

 女児の遺族は「いじめを自殺の要因として認めていただいたことは評価するが、娘に対してどういういじめがあったのかが理解しづらい」とし、「いじめ以外に自殺に至る要因があるのか調査してほしい」と再調査を要望した。

 第三者委員会の尾崎公子・兵庫県立大教授は「自殺は複合的な要因によって起こるとしか言えず、結果的にご遺族に寄り添えなかった。大変驚き、残念に思っている」と述べた。(井上 駿)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180702-00000008-kobenext-l28