>>593
 世論的には、その後プレイボーイなんかが取り上げて、つまり庶民感情にあいさえす
れば、マスコミはやるんですけれども、鯨の問題を取り上げて、私のコメントも取り上
げて、結局は、鯨の問題はわれわれが鯨鯨で騒いでいると税金をそういうことにつかっ
て、馬鹿を見るのは国民だという記事にしたんですね。鯨を守れ守れということをいっ
ていて結局はしょうがないという形でみんなが同情して水産会社に漁業補償が行くとい
うこんな馬鹿な話はないんです。
 それを読んだうちの学生から、大学祭で話すよう頼まれて、今度は、それを、水産業
界でキャンペーン雑誌で、イカとかマグロの大手中小の企業を相手にして売れている
『水産世界』という雑誌の記者が聞きに来てまして、それ以後つきあうようになって大
分議論して、いろいろお互い、情報を交換しながら話をしています。
 NHKに出たらその後すぐ、日本捕鯨協会の蓮井専務が、どっさりパンフレットを送って
きて、あわててオルグしに来たんですけれど。ま、こっちが普段思ってることを聞くと
否定できないんですよね。事実として。一般的に世論操作でされている部分と、業界で
の本音とか実情というのは、そういうことがあるんです。

 そういう中で、1975年、グリンピースの人たちとの付き合いが始まったので
す。74年か75年に日本で鯨のことでコンサートをやると打合せ会にいったこと
があるんですが、いまから思えばあのときに原剛さんと、江草さんなんかの毎
日の記者がおとなしく聞いてました。
 その後、ポール・スポングが三輪妙子さんからインタヴューを受けてますけ
れど、日本に来たんですね。いま彼がNECのパソコンかなんかのCMに出て
ますけれど、あれは非常に象徴的なんですね。日米の貿易関係で。なぜかとい
いますと、日本がパソコンをアメリカに売ると、鯨に対するアメリカの反対と
は非常に裏腹の関係にあるのです。それは、日本がアメリカにコンピュータを
売るわけです。そのコマーシャルを彼が受けているわけです。アメリカは、自
国が日本のコンピュータの市場になることが嫌だから、日本にいろんな形で圧
力をかけてくる。そのひとつとして鯨の問題もあるというふうに言う人もいま
すけれど私はある部分そういう面があると思います。それは、いまから15年ぐ
らい前。三輪さんなんかと交流があったときに、いろんなグループのグリンピ
ースが来たんですけれど、その中ある部分は完全に向こうの右派議員なんかか
ら金が出てて日本のオートバイとかテレビの不買運動やるのと結び付いてまし
たから。その、スポングが来たときに、私は大洋漁業の労組の人たちとの付き
合いで、彼との話し合いをしたことがあります。
 彼に聞いたのは二つのことです。ひとつは、当時、アメキンといって、巾着
網でマグロを捕っているわけです。その後日本にもそれが入ってきて、海外施
き網といって、いま、太平洋でカツオとかマグロとかを獲っていますけれど
も、そういう速いスピードで泳ぐ魚の群れを高速の船で巻いてキハダマグロな
んかを取ると、イルカなんかも混獲します。イルカは呼吸しないと死んじゃい
ますそれが何万頭といて、その後アメリカの中でも問題になって、減らすよう
に漁法を変えたりしています。
 もうひとつ、イルカの訓練をやって、軍事用に使っているということをいっ
たわけですね。日本も問題があるけれども、アメリカも、非人道的なことをイ
ルカに対してやっているじゃないかと、いったわけです。イルカに、プラスチ
ック爆弾のようなものをくわえさせていって敵の潜水艦にくっつけてくればい
いんです。いわば人間特攻隊のかわりにやるんですね。その訓練はお金がかか
るんですね。2億円ぐらいするっていうんでいまから10年ぐらい前にそれが逃
げちゃって、2億円の損害だと新聞に出ましたね。
 ですから今度、太地からゴンドウ鯨を持ってたりしていて、それをアメリカ
の団体がやめさせようとしていて、それは当然なんです。だけど、その当時は
それをやり切れてなかったんですね。やってないじゃないかといったら相手が
軍ですからね、軍が相手より日本が相手のほうが楽ですからねそれだけの話な
んです。そういう、どっちもどっちの部分を言うので、僕は両方から煙たがら
れています。