講談社の声明

6 月 29 日以降の一部報道により、本作と著者について中傷、誹謗等がインターネッ
ト上等で散見され、盗用や剽窃などという誤った認識を与える文言まで飛び交う事態
となりました。
これらの不当な扱いによって、本作と著者およびそのご家族、新人文学賞選考にあ
たった多くの関係者の名誉が著しく傷つけられたことに対し、強い憤りを持つととも
に、厳重に抗議いたします。
今回の問題は参考文献の未表示、および本作中の被災地の描写における一部の記述
の類似に限定されると考えております。その類似は作品の根幹にかかわるものではな
く、著作権法にかかわる盗用や剽窃などには一切あたりません。
石井光太氏著『遺体 震災、津波の果てに』との類似点は弊社の調査により発見し、
石井氏に事情説明に赴きました。以後、石井氏および同氏の代理人である新潮社に対
して、著者とともにできうる限りの誠意を尽くして協議を行ってまいりました。
しかし、協議を続けている中で、6 月 29 日の新潮社声明において、「単に参考文献
として記載して解決する問題ではない」と、小説という表現形態そのものを否定する
かのようなコメントを併記して発表されたことに、著者北条氏は大きな衝撃と深い悲
しみを覚え、編集部は強い憤りを抱いております。