こう言う人たちもなんとかしろよ、つかなんか言えよ
バカじゃないの?

東京大学教授の野崎歓第61回群像新人文学賞の選評

読み始めるやすぐに、これは並はずれた作品と出会ってしまったのではないかという気持ちにとらわれたのだが、その感覚は読み進める
うちに強まる一方だった。激しく胸を揺すぶられ、ときに唸り声などもらしながら夢中で読み終えた
作品を冷静に見定め評価するといった選考委員としての構えが吹き飛んでしまった、これはすごい、素晴らしい小説だとつぶやくばかりだった
作品の全体が緊迫感にあふれ、たまらないほどの悲しみに覆われている。
しかも文章には勢いがあり、いきいきとした躍動があって、平板に陥ることがない
ひょっとして実際の災害とは無縁の作者によるものだとしたら、それはまたこの小説の驚嘆すべき点
「美しい顔」の登場人物たちがいかにまぎれもなく生きていると感じられることか
破格の筆力によって、日本のみならず世界に向かって発信されるべき作品が生まれ出た
驚くべき才能の登場に興奮が収まらない