シンガポールは、日本より少子高齢化が深刻なのに、なぜ経済成長率が高いのか?
外国人労働者に家事を任せて生産性を上げるなど、日本が見習うべき点も!
http://diamond.jp/articles/-/174484

シンガポールでは、外国人の家事労働者に家事や子守、介護などを任せるのが一般的

 シンガポール政府は、建築業、製造業、サービス業(外国人家事労働者など)に従事する一般の労働者から、
中間管理職、専門技術者、研究者、弁護士、医師、会計士、IT系人材などの高技術労働者、富裕層に至るまで、
国の経済成長に貢献する人材を戦略的に確保する政策を採っています。

 特に「外国人家事労働者」が多いのが特徴であり、これが日本とは異なる部分です。
外国人家事労働者には、家事のみならず、子守や介護などを任せることもできるので、
働き盛りの世代が育児や介護で働けなくなる、といった問題を避けることができます。

 また、デリバリーサービス、清掃などのスタッフも多数揃っているので、中流以上の家庭となると、
買い物、掃除などは徹底してアウトソーシングし、移動は安いタクシーを活用して時短に努め、
時間を有効活用しながら生産活動に注力する傾向が強いです。

 一方の日本は、2018年4月時点で有効求人倍率が1.59倍となり、慢性的に人手不足の状態が続いています。
今後、少子高齢化がさらに進めば、すでに人手が不足している介護や医療の現場などを筆頭に、
さまざまな分野で人手不足が深刻化することは間違いありません。

移民が増加してもシンガポールの治安がいい背景には、外国人労働者への厳しい規制が存在している

 外国人労働者の増加というと、治安の面を心配する方も多いかもしれません。
シンガポールは凶悪事件の発生件数が少ない、治安がいい国ですが、
あれだけ移民が多いのに良好な治安を維持できている背景には、さまざまな厳しい法律や規制があります。

 例えば、殺人や銃器の発砲、多量の麻薬所持といった禁を犯すと死刑になります。
また、不法入国・不法滞在もむち打ちの厳罰に処されます。
さらに、外国人労働者を対象とした規制には、驚くようなものも多くあります。
たとえば女性の外国人ヘルパーは、なんと妊娠したら国に強制送還されます。
工事現場のスタッフも怪我をして働けなくなったら、国に帰るしかありません。
このような、日本では考えられない徹底した数多くの規制が、治安維持に貢献しているのです。

 しかし、シンガポールは外国人労働者に厳しい法律や規制を用意する一方で、
不慣れな外国人労働者に対しては「ブロークンイングリッシュでOK」という大らかな風潮があります。
そのため、言語やマナーが完璧ではない外国人労働者でも働きやすい環境が整っているのです。

 同じく少子高齢化という壁に直面しているものの、国の規模や地理、歴史的な背景などが大きく異なるので、
日本がシンガポールを完全にマネするというのは難しいでしょう。
ですが、法律などの面で外国人労働者を受け入れる準備をしつつ、
日本の企業や国民は外国人労働者に対して、もう少し寛容さを持って接するなど、
同じく少子高齢化の進む日本がシンガポールに学べることはたくさんあるのではないでしょうか。