大阪北部地震発生から18日で1カ月。地震による住宅被害は、損害割合が20%未満の「一部損壊」が大半を占めるが、地震保険に加入していても補修費用をまかなえるとは限らず、崩れた屋根や壁を直せないまま不安を募らせる被災者もいる。行政による公的支援の拡充や、住宅所有者同士が負担する共済制度の導入が課題となっている。

 消防庁によると、確認された住宅被害は17日現在、全壊10棟、半壊181棟、一部損壊3万2989棟(大阪府3万524棟、京都府2434棟、奈良県27棟、兵庫県4棟)。三井住友海上火災保険の担当者は「古い木造家屋の屋根瓦や外壁が落ちるケースなどが多く報告されている」と話す。

 再建や補修の費用をまかなう地震保険は法律に基づき、政府と損害保険会社が共同で運営している。火災保険とセットで加入し、保険金は火災保険の30〜50%の範囲で建物被害には最大5千万円が支給される。

 ただ、一部損壊の場合は契約した保険金額の5%の支給となり、被災者からは「これだけしか支給されないのか」と不満の声が損保会社に寄せられるケースもあるという。また、地震保険への加入率は全国で30・5%(平成28年度)にとどまる。ニッセイ基礎研究所の安井義浩主任研究員は「地震保険への加入率は上がってきているが、補償範囲などについてさらに周知する必要がある」と話す。

 このため、自治体など行政による支援金が果たす役割は大きい。大阪府高槻市が工事費に応じて5万円または3万円を補助するほか、茨木市や箕面市が独自の支援策を決めた。

 大阪府は住宅金融支援機構を通じて最大200万円を無利子で融資する制度の受け付けを17日に開始し、大阪シティ信用金庫も取り扱いを検討。京都府は木造住宅の耐震改修などへの補助要件を今回の地震の被災住宅に限って緩和した。

 一方、兵庫県は阪神大震災を教訓に、住宅所有者が資金を負担し合って災害時に給付する「フェニックス共済(兵庫県住宅再建共済制度)」を17年に創設。一部損壊が多かった25年4月の淡路島地震を受け、一部損壊の場合に年額500円の負担で最大25万円(補修などの場合)を支給する特約を設けた。県担当者は「地震保険などの自助、行政支援の公助に加え共済による共助は必要」と話す。


動画
https://youtu.be/Z7R-yNOgFJQ


産経WEST 2018.7.17 22:36