>実は、T4作戦とホロコーストとは本当に関係あるのかどうか、日本国内の研究者でも
意見がいくつかありました。ドイツで、何人かの社会学者や歴史学者に意見を伺いました。
これらの証言によると、T4作戦に携わった職員のアウシュビッツなどの収容所への異動、
ガス室で使われた装置や道具が移されたなど、間違いなく関係性が深いのです。
NHKの番組では、明確に関係性があるという立場をとりましたが、これに対する異議は
出ていないと聞いています。

 わかってきたことは、ヒトラーが政権をとった同じ年の1933年の7月14日に断種法と
言われている遺伝病子孫予防法が成立するんです。国民投票法、いわゆる一党独裁法と
言われる政党新設禁止法、それに断種法の3つの法律が同じ日に生まれたんです。断種法の
制定以降の流れをみると、断種法で約40万人障害者や病人が断種手術を強要され、
T4作戦で20万人以上の障害者が殺された。その後、ユダヤ人虐殺へと続くわけですが、
「価値なき者」を殺すという考え方や精神科医を中心とする医師が手を下したという事実は
段階的であり、連続していたわけです。