「採用候補者選考の合否の判断に際しての従前の勤務成績の評価については,基本的に
任命権者の裁量に委ねられているものということができる。」(最判平30・7・19)

重い懲戒処分の前歴がある者の場合でも、それが最近のものではなく、非違行為から長期間が
経過しており、それ以降は同様の非違行為に及んでおらず、その勤務成績に鑑み更生が
認められるときは、その者の再雇用を認めることが不合理であるとまではいうことができない。

これに対し、たとえ懲戒処分の前歴が戒告処分にとどまる者の場合であっても、それが最近の
非違行為(職務命令違反)であり、それが故意によるものであって、しかも繰り返されているときは、
その勤務成績が低い評価となるのは当然である上、同様の非違行為に及ぶおそれがあることを
否定できず、その者の再雇用を認めないことが必ずしも不合理であるということはできない。

なお、職務命令違反による非常勤教員不合格を違法として損害賠償を求めた訴訟において、
損害賠償請求を棄却(原告元教員ら敗訴)した裁判例がある(東京地判平28・4・18)。