セブン−イレブン・ジャパンが17日に一部店舗で予定していた「100円生ビール」のテスト販売が波紋を呼んでいる。事前にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でニュースとして広がり、予想を超える反響の大きさにセブンは「販売態勢が整えられない」と中止した。コンビニでサーバーから本格的な生ビールを販売するのは飲酒運転の増加につながるとの懸念もあり、実現の見通しは立っていない。【今村茜】

全国2万店を展開するセブンは通常、新商品の販売前に数店から数十店舗規模で売り上げ状況や、実際の業務に支障がないかを試すテスト販売を行う。今回は需要の有無そのものを確認する目的もあった。しかし数日前にサーバーやポスターを設置したところ、SNSで広まり、問い合わせが殺到した。

セブン親会社のセブン&アイ・ホールディングス(HD)は「普段の状態で販売してこそテストの意味があるが、これだけ話題となると実際の需要が測れない。実施店に来客が集中し、商品品質も担保できない」と、中止の理由を説明する。またセブンは直営店のほか、加盟店主が運営するケースが多いため、「情報が事前に漏れたことで、テスト販売をしない他の加盟店主から、不公平だとの声が上がる懸念にも配慮したのではないか」(別の流通大手)との見方もある。

■業界ライバルも注視

今回のテスト販売は中止となったものの、コンビニ最大手のセブンによる100円生ビール販売の企画は、さまざまな波紋を広げた。ライバルのコンビニ業界は「確実に集客の目玉になる」と予想し、動向を注視している。

大手以外では、既に生ビールをサーバーから販売しているコンビニもある。JR東日本リテールネットが駅構内で運営するコンビニ「ニューデイズ」は2015年からアサヒビールの生ビールをサーバーから販売。今年も東京都内など46店舗で545ミリリットル398円で販売しており、会社帰りに購入する男性客が多い。最大手のセブンによる生ビールの店頭販売が成功すれば、他社に波及する可能性がある。また消費者のビール離れで市場縮小が続くビール業界からも「気軽に飲めて裾野が広がる」と歓迎する声が出ている。

■飲酒運転増の懸念も

飲酒運転や未成年の飲酒を危惧する声も強い。アルコール依存症の予防に取り組む市民団体「アスク」の今成知美代表は「便利な場所で24時間営業するコンビニに生ビールがあれば、つい買ってしまう人も多い。今でも車で来店しているかや年齢確認が不十分なまま酒を販売する例があるのに、リスクがさらに高まる」と指摘する。店内で酔った客同士や近隣住民とのトラブルなどの懸念もある。

■水面下準備の臆測も

先行するニューデイズは店舗が駅構内にあり、「人の目が多く、深夜は閉店するため特にトラブルはない」という。業界内では「セブンは店を絞り込むなど工夫し、水面下で準備を進めるのでは」(大手コンビニ)などの見方も出ているが、セブン&アイHDは「今後の計画は未定」としている。

■KeyWord

100円ビール

 コンビニ最大手のセブン−イレブン・ジャパンが、東京都三鷹市など首都圏の数店舗で17日からテスト販売を予定していた。

 コンビニのレジカウンター横にキリンビール「一番搾り」のサーバーを設置し、Sサイズ100円、Mサイズ190円で販売予定だった。客はレジで年齢確認を受け、料金を支払った後、カップを受け取りサーバーに置き、SサイズかMサイズのボタンを押してビールを注ぐ。仕事帰りなどの「ちょい飲み」需要の掘り起こしが狙いだった。

 大手コンビニは2010年代から店内に設置したコーヒーサーバーで高品質コーヒーを100円で提供するサービスを本格展開し、喫茶店などから客を奪った。

毎日新聞2018年7月21日 西部朝刊
https://mainichi.jp/articles/20180721/ddp/008/020/017000c

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