5年前に成立した「自動車運転処罰法」。盛り込まれた「発覚免脱罪」は、より重い処罰にすることで飲酒運転を抑止するのが狙い。しかし起訴された加害者の9割以上が執行猶予の判決が言い渡されているのが現実だ。
 2017年12月、札幌の49歳のタクシー運転手の男性が車にはねられ、ひざの靭帯を損傷するなどの大けがをした。タクシーの外で客を乗せて扉を閉め、運転席に回った時、急に進路を変えてきた車にはねられたという。スナックで働く女性が事故を目撃していた。「結構なスピードで走り抜けた。止まらないでそのまま通り過ぎ、ひいた車のサイドミラーの左部分が落ちていた」。スナックの女性は事故を起こした車を「追いかけて」と後続車に頼んだ。後続車の運転手が逃げた車を撮影すると、ナンバープレートの横に会社名が書かれていた。社用車だったのだ。
 運転していたのは札幌市東区に住む44歳の会社員の男。会社の忘年会で3次会まで行った後、会社に戻って社用車で帰宅する途中だったという。飲酒運転だった。翌朝、男はこの社用車で出勤したところ警察から話を聴かれた。逮捕はされなかったが、男は発覚免脱罪などで在宅起訴された。
 発覚免脱罪は飲酒運転の発覚を免れようとする、いわゆる「逃げ得」を防ごうと5年前、成立した自動車運転処罰法の中に盛り込まれた。
 今年5月、札幌地裁で男に判決が言い渡された。「本来であれば実刑を免れないが、公判内容を精査すると執行猶予が相当」。判決は懲役1年6カ月で執行猶予がついた。被害者の男性は執行猶予がついたことに怒りを隠せない。「(執行猶予の場合)実際に受ける刑は普通に過ごしているだけだからあり得ない。検察は控訴してくれても良いと思う」。札幌地検は控訴せず判決は確定した。(2018年7月12日放送…くわしくは動画をご覧ください)



HTB 2018/07/24(火) 22:05
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