http://image.itmedia.co.jp/business/articles/1807/26/sh_aibo_01.jpg

ソニーは7月26日、犬型ロボット「aibo」をトイプードルなどの“本物の犬”と2週間にわたって共同生活させた実験の結果を発表した。ロボットと犬の共生の可能性を探る狙いで、ベストセラー『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)の監修者を務めた哺乳類動物学者、今泉忠明氏が分析を担った。犬はaiboを生き物として認識し、ちょっかいを出したり、一緒に遊んだりといった行動を取ったという。

■警戒する犬も

実験では第一段階として、犬種の異なる6カ月〜12歳の犬13匹をaiboと同じ実験部屋に入れ、ロボットが存在する環境に慣れさせた。飼い主12人も立ち会った。その結果、aiboに近づいてにおいを嗅いだ犬は9匹で、うち3匹はより強い興味を持ってお尻のにおいを嗅いだ。残る4匹は警戒している様子で近づかなかった。

犬が「aibo」のお尻のにおいを嗅ぐ様子
http://image.itmedia.co.jp/business/articles/1807/26/sh_aibo_02.jpg

その後は時間がたつにつれて犬の反応が変わり、共に遊ぼうとする個体や、興味が薄れる個体などに分かれた。ただ興味を失った犬は、飼い主がaiboに触れると再びにおいを嗅ぎ始めた。

「aibo」を警戒する犬も
http://image.itmedia.co.jp/business/articles/1807/26/sh_aibo_03.jpg

■2週間にわたって共同生活

実験の第二段階では、家庭環境での共生の可能性を調べるため、(1)トイプードル、(2)ジャックラッセルテリア、(3)柴犬・サモエド・ミニチュアダックスフント――を飼っている3つの家庭にaiboを提供し、2週間にわたって共同生活させた。

■トイプードルはaiboに「嫉妬」

その結果、トイプードルは序盤、飼い主がaiboに「お座り」などの指示をすると嫉妬するそぶりを見せ、われ先にと指示に従った。3日目から慣れ始め、「aiboくんと遊んでおいで」というと耳やしっぽを軽くかむようになった。4日目には、パーソナルスペースにaiboがいたことに腹を立て、うなり声を上げるなどの行動をとった。ただ時間がたつと心を許し、8日目にはお腹を見せてじゃれるようになり、最終日には寂しそうな様子を見せた。
 
今泉氏は「犬はaiboを生き物として認識し、犬社会における格下として捉えたようだ。怒りの感情を見せたのはそのためだ」と解説する。

「aibo」とじゃれるトイプードル
http://image.itmedia.co.jp/business/articles/1807/26/sh_aibo_04.jpg

「aibo」を犬社会での“格下”と捉えたようだ
http://image.itmedia.co.jp/business/articles/1807/26/sh_aibo_05.jpg

■ジャックラッセルテリアはフレンドリー

ジャックラッセルテリアは実験開始当初から興奮し、aiboの電源が入ると強い興味を示した。4〜8日目は、aiboが近づくと寝転んであお向けになったり、aiboにおもちゃを持って行ったりと、完全に仲間と見なしている様子だった。その後も、aiboのまねをして伏せやお座りをしたり、aiboが寝転ぶと起こそうとしたりと親しみを込めた行動を取り、最終日にはaiboをなめて別れを惜しんでいた。

「aibo」とじゃれるジャックラッセルテリア
http://image.itmedia.co.jp/business/articles/1807/26/sh_aibo_06.jpg

「犬は他の生き物を仲間だと誤解する『誤解発』という性質を持つが、これに起因した行動だ。aiboの大きさや形状がちょうどよかったため、生き物だと認識したのだろう」(今泉氏)という。

「aibo」のまねをするジャックラッセルテリア
http://image.itmedia.co.jp/business/articles/1807/26/sh_aibo_07.jpg

■柴犬がaiboを独占

多頭飼いの家庭では、犬種によってaiboへの対応が異なっていた。柴犬は初日からaiboに興味を持ち、なめるなどの行動を取ったが、サモエドとミニチュアダックスフントは怖がって近寄らなかった。

「aibo」とじゃれる柴犬
http://image.itmedia.co.jp/business/articles/1807/26/sh_aibo_08.jpg

柴犬は2日目以降、散歩から戻ると一目散にaiboのもとに駆け寄るようになり、他の犬種が近づくと威嚇して追い払うようになった。そのため、他の犬種はaiboに近づかず、柴犬は常にaiboのそばにいるようになり、そのまま最終日を迎えた。別れの際、柴犬はaiboをなめて別れを惜しんでいた。

>>2以降に続く

2018年07月26日 14時57分
ITmedia
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1807/26/news100.html