※続きです

■あなたは、どう考える?

モラル・エンハンスメントに対しては、自由の侵害が懸念されている。
愚かな選択や行動をすることも自由の一部だと考えるなら、モラル・エンハンスメントは確かに自由の侵害だと言える。

けれども、この懸念には、自由の価値を誇張すべきではないとの反論もある。
ジョージ・ワシントン大学の道徳哲学者のDavid DeGraziaは次のように述べている。

〈私たちが行動する時の平均的な自由度と比較して、モラル・エンハンスメントは自由を25%減少させたと想像してみてください。
さらにモラル・エンハンスメントの結果、戦争や飢餓がなくなり、世界のすべての人が基本的な生活必需品にアクセスできると想像してみてださい。
人々の道徳的行動やそのような歓迎される結果のために必要ならば、それを理由に、私は自由の減少を全面的に受け入れるでしょう〉

あなたは、この考えについてどう思うだろうか?
誰もがモラル・エンハンスメントの対象になる未来は、デストピアか、それともユートピアか。
いまの世の中を見るにつけ、せめて私たちの代表である政治家には「道徳ピル」をお勧めしたい、そう思った読者もいるのではないだろうか?

※おわり〆