いわゆる
大東亜戦争=アジア解放戦争
というお決まりの史観だな。
その史観を裏付けるのに
高級軍人の手紙と証言の例示でことたれり
とは恐れ入った。
客観的な学問としての歴史研究のイロハのイの字にもならない。
そんなに正当な戦争なら
なんで政府と軍部は
終戦時に大量の公文書を焼却して
歴史の闇に葬ったのかね。
自分に都合の悪い歴史的事実の隠蔽が目的と見なすのが自然だ。
ナチスドイツだって、大半の公文書は残っている。
そんな正当な戦争なら
なぜ東條の前の近衛内閣は
ルーズベルトと首脳会談をして
中国からの撤兵で日米戦争を回避しようとしたのかね。
日米戦争を回避したらアジア解放の戦争ができないじゃないか。
そもそもアジア解放が目的なら、なぜ真っ先に朝鮮を独立させなかったのか。
すでに独立を約束されていたフィリピンになぜ進攻したのか。
フィリピンの解放が目的なら、なぜ日本軍は抗日ゲリラと戦ったのか。
インドネシアを日本領とすると決めていたのはなぜなのか。
第二次大戦による大混乱がアジア諸国の独立を加速させたことは確かだが
すでに各国で独立運動は起きており独立は時間の問題だった。
頼まれてもいないのに何百万人もの現地国民を殺す正当性はない。
そもそもアメリカがフィリピン独立運動を弾圧していたとき
日本は朝鮮支配を認めてもらうのと引き換えに米国の弾圧を容認していた。
デタラメな史観を信じこむとは学問としての歴史研究への冒瀆でしかない。