約1000兆円という大きな残高がある既発国債の流通価格は、10年債
の金利が0.1%上がるにつき、0.8%(8兆円)下落します。長短国
債の平均残存期間は8年だからです。

・金利が1%上がると、8%(80兆円)下落し、
・2%上がると、16%(160兆円)の含み損が、金融機関(国債をも
つ日銀、銀行、生保)に生じます。

日本では、既発国債が1000兆円(GDPの1.8倍)と、経済規模に対し
て世界最大であるため、普通は問題ではない1%や2%の金利の上昇
が、銀行の資産下落から金融危機を引き起こす規模の、国債損を生
みます。

1%や2%金利が上がっても、何も起こらないというエコノミストは、
GDPの1.8倍の1000兆円という国債の発行残を無視しています。
(注)政府の借入金を含む総債務は1280兆円ですが、そのうちの国
債は1000兆円です。

【既発国債が大きすぎる日本】
わが国では、普通の金利より低くても、金利2%辺りから、金融危
機に向かうでしょう。

値下がりする既発国債の残高が1000兆円と大きく、金利の上昇が、
国債をもつ金融機関の資産の損失を招き、その損失が、金融機関の
信用の淵源である自己資本(総計で150兆円)を超えるからです。