重い障害のある久留米市の男性が、6年前、特別支援学校で給食をのどに詰まらせ障害がさらに重くなったのは学校側が安全配慮義務を怠ったからだなどと訴えた裁判で、裁判所は久留米市に対して慰謝料として500万円を男性側に支払うよう命じる判決を言い渡しました。

重い脳性まひがある、久留米市に住む20歳の男性は、市内の特別支援学校の生徒だった6年前、給食をのどに詰まらせ寝たきりになった上、視力が完全に失われ、意思の疎通や自発呼吸ができなくなりました。
男性と母親などは「学校側が安全配慮義務を怠り、障害がさらに重くなったにも関わらず、見舞い金が支払われないのは不当だ」などと訴え、久留米市と、学校などに見舞い金を支給する独立行政法人に対し、あわせて1億9000万円余りの損害賠償を求めています。

10日の判決で、福岡地方裁判所久留米支部の青木亮裁判長は「担当の教師は、生徒が給食をのどに詰まらせたあと、直ちに応援を要請する義務に違反した」などと指摘しました。
その上で「義務違反と生徒の後遺障害の因果関係は認められないが、後遺障害を負わなかったかもしれない相当程度の可能性を侵害した」などとして、久留米市に対し、慰謝料として500万円を男性側に支払うよう命じました。

一方、独立行政法人に対しては、障害見舞金の支払い義務は負わないとしました。
判決について、男性の母親は会見を開き、「判決に納得はしていません。息子の状態が変わったことで、私たちの生活もがらっと変わってしまいました。もっとしっかり判断して、思い切った判決を出してほしかったです。久留米市にはきちんと謝罪してほしいです。そして同じような事故が起きないよう安全対策をしてほしい」と話していました。

判決について、久留米市の大久保勉市長は「市の主張が一部認められなかったことを重く受け止めています。今後、判決内容を精査し、対応を検討したいと考えています」というコメントを出しました。

08月10日 19時00分
福岡 NEWS WEB
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