自民党総裁選への立候補を十日に正式表明した石破茂元幹事長は、安倍晋三首相に対し改憲で議論を挑む姿勢を明確にした。持論の九条改憲を巡り、首相が主導する自衛隊明記案を疑問視。政治姿勢でも首相を痛烈に批判し、対抗心をむき出しにした。 (中根政人)

 「(自衛隊の実態は)何も変わらないのに、『(自衛隊は)憲法違反だ』と言う学者がいて、それが教科書に記載されるのを変えることが優先順位が高いとは、私は思わない」

 石破氏は記者会見で、自衛隊を明記する改憲が必要とする首相の説明を、真正面から批判した。

 首相は七月の記者会見で「(自衛隊)違憲論が載った教科書で、自衛官の子どもたちも勉強しなければならない状況に終止符を打つのは、今を生きる政治家の使命だ」と主張。自衛隊明記は急ぐべき課題という認識を示していた。

 九条改憲を巡って石破氏は、戦力不保持を定めた二項を削除すべきだとの考え。同時に、国民の理解を得るために十分時間をかけるとの立場にも立つ。会見では「どうせ理解されないからこれでよい、という考え方を私はとらない」とも話し、世論調査などで賛成論が少ないまま改憲を進める首相の姿勢に異を唱えた。

 公約ビラのキャッチフレーズは「正直、公正、石破茂」。森友、加計(かけ)学園問題などで首相らの不透明な国会答弁が批判を浴びたことが念頭にある。会見では「政治が正直に、勇気を持って真実を語る姿勢が大事だ」と強調した。

 党運営や国会運営の改善策として「自由闊達(かったつ)に真実を語り、協議し決断する」「多様な組織と対話・調整し、国会を公正に運営。政府を謙虚に機能させる」などと指摘した。

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2018年8月11日 朝刊
東京新聞
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