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子ども40人の命奪った爆弾、米国が供与と判明 イエメン空爆
2018.08.18 Sat posted at 12:39 JST

(CNN) イエメン北部サーダでスクールバスがサウジアラビア主導の連合軍の空爆を受けた件で、空爆に使用された爆弾は米国務省が承認したサウジとの武器取引の一環で売却されたものだったことが18日までに分かった。弾薬の専門家がCNNに確認した。

9日に実施されたこの空爆では、子ども40人を含む51人が死亡した。CNNは今回、現地のジャーナリストや弾薬の専門家と協力し、使用された兵器が米ロッキード・マーチン製の500ポンド(227キロ)級レーザー誘導爆弾「MK82」であると突き止めた。ロッキード・マーチンは米国防総省の契約業者として最大規模の企業となっている。

CNNはサーダの情報提供者やカメラマンから攻撃直後と撤去作業開始後に撮影された爆弾の破片の画像を入手。複数の弾薬の専門家が分析した結果、破片に記されたナンバーからロッキード・マーチン製の爆弾MK82であり、レーザー誘導弾であると確認した。

この点について有志連合の報道官にコメントを求めたところ、作戦は国際人権法に基づき市民の犠牲を最小限にするよう手段を講じていると述べたものの、調査中との理由から踏み込んだ発言は避けた。

サウジアラビアは市民を狙ったことを否定し、空爆前日に反政府武装組織「フーシ」が行った弾道ミサイル攻撃に対する報復措置で「正当な軍事行動」だったと主張している。

米国防総省の報道官は、直接関与していない市民の犠牲について独自に検証する立場にないとしつつも、サウジへの弾道ミサイル攻撃も含め、このような犠牲を減らすように全当事者に呼びかけていると述べた。

この爆弾は、イエメンの葬儀施設に対する16年10月の攻撃で壊滅的な被害をもたらした爆弾に非常に近い。この攻撃では155人が死亡、数百人が負傷しており、サウジ主導連合軍が責任を認めた。

同年3月には、イエメンの市場へも攻撃があり、97人が死亡した。このとき使われた爆弾に関しては、米軍が供与した精密誘導爆弾「MK84」だったとの情報がある。

オバマ前米大統領は葬儀施設への攻撃の後、「人権面の懸念」を理由に、サウジへの精密誘導技術の武器売却を禁じる決定を下した。しかしこの決定は17年3月、トランプ政権のティラーソン国務長官(当時)により覆された。

サウジ主導連合軍がスクールバスへの攻撃について調査に乗り出す中、観測筋や人権団体からは、米国に道徳的な責任がないかを問う声が強まっている。米国は連合軍の標的の決定は行っていないと説明するが、武器売却やサウジ戦闘機への給油、一部情報の共有を通じて連合軍の活動を支援している。

弾薬の専門家は、爆弾の破片にあるナンバーからロッキード・マーチン製の爆弾だと確認した/CNN
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攻撃で死亡した子どもの棺(ひつぎ)で悲しみに暮れる男性/STRINGER/AFP/Getty Images
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病院で手当てを受ける負傷した子どもたち/STRINGER/AFP/Getty Images
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