朝日新聞 真田正明論説委員 7月分の講評 「河の向こう」2014
「朝日新聞の慰安婦報道の検証を受けて、産経新聞のヒステリックな反応はある程度
予想がついたが、驚いたのは読売新聞である。
検証紙面の翌日に朝日の論点のそれぞれについて批判する特集を組んだ。
主義主張は違えどこちら側にいるかと思っていた他紙の幾つかは、すでに向こう岸に
いる。
そこには安倍城がそびえている。そこに批判はなく、美しい日本、強い日本の心地
よい調べも流れている。
居心地のいい城に世界が称賛する日本、すごい日本と、にわか作りの旗印を掲げて
駆け込む地侍たちもいる。
向こう岸はもはや戦前のような別の世界になってしまったかのようだ。
それを批判すれば、こちら側には自虐、売国といった矢が飛んでくるだろう。
何のことはない。当時=戦前は朝日も毎日もいわば向こう岸にいたのである。
今が戦前と違うのは、こちら側がしっかりあるという事だ。
朝日も毎日も、東京もこちら側にいる。地方紙の多くもそうだろう。
そしてどんなに向こう岸が賑やかでも、国民の多くはまだこちら側にいると私は
信じている。」