福井県若狭町の若狭テクノバレー内にある化学工場が爆発し従業員1人が死亡した事故で、周辺に飛散した化学物質は人体や生活環境に影響はないと、事業者のプロテインケミカル(本社東京都)が地元住民に説明していたことが9月4日分かった。
ただ、住民の健康被害や車両の変色、水稲被害が出ており、同社は補償交渉を進めている。

 同日開かれた町議会一般質問で、理事者が明らかにした。同社は工場周辺の杉山区民らを対象に8月9、10の両日、説明会を開いた。

 同社によると、爆発により飛散したのは、工場で製造していた化学物質「3―t―ブチルヘキサン二酸」。
電子材料に使われるものといい、硝酸などを原料にしている。外部専門家の大学教授や研究所などにリスク評価を依頼し、有害性が低いと確認したとした。

 町によると、爆発後に杉山区27人、隣接工場の従業員7人の計34人が目やのどの痛み、肌がヒリヒリする症状を訴えた。
工場周辺の水田約7ヘクタールで、稲の葉に斑点や枯れたような症状が発生。飛散物質が付着し変色するなどした車両は42台に上った。
いずれも飛散物質に含まれた硝酸が原因とみられるという。爆発後に周辺に漂ったオレンジ色の煙は窒素酸化物とし、人体に影響はないとしている。

 同社は杉山区などを各戸訪問して被害状況を聞き取っており、個別に補償交渉している。

 爆発事故は7月2日午後1時45分ごろに発生。同社は事故原因について調査中としている。

爆発した工場から広がった、窒素酸化物とみられるオレンジ色の煙=7月2日、福井県若狭町(提供写真)
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2018年9月5日 午前11時30分