【ジュネーブ=細川倫太郎】国際航空運送協会(IATA)は6日、2017年の国際線と国際線を合わせた世界の航空旅客数が初めて40億人を突破したと発表した。世界景気の回復を追い風に利用者が増加。特に日本を含めたアジアの伸びが全体をけん引した。ただ、足元は米国と中国の貿易戦争や原油高など逆風もあり、好調が持続するかは不透明感もある。

 17年の世界の旅客数は前年比7%増の41億人だった。好景気を映して、観光、ビジネスの両面で人の移動が活発だった。格安航空会社(LCC)の勢力が拡大し、割安に旅行ができるようになったのも大きい。アジア太平洋地域の旅客数は11%増の15億人と地域別で最多だった。2位は欧州で8%増の11億人、3位の北米は3%増の9億4000万人だった。

 個別の路線をみると、国際線の旅客数1位は香港―台北で540万人、次いでジャカルタ―シンガポール(330万人)となっている。国内線も上位はアジア太平洋が独占し、日本の路線で3位に福岡―羽田(760万人)、4位に札幌―羽田(740万人)がランクインした。

 アジアではLCCが日本市場に攻勢をかけている。タイ大手のノックスクートは10月に関西―バンコク線を就航。エアアジア・グループはバンコクと関空・成田空港以外にも路線を広げ、同じく10月には中部―バンコク線を開設する。

 東南アジアでは国内線でLCCのシェアが既に6割程度に達しており、まだ約1割と言われる日本の開拓余地は大きい。LCCの相次ぐ参入で、今後も日本路線の旅客は増える可能性が高い。

 一方、世界では米中貿易摩擦による景気減速リスクが台頭。さらに足元の原油高を受け、航空会社が燃料費の上昇分を運賃に上乗せすれば、好調な旅客需要に水を差す可能性がある。

2018/9/7 10:29
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35096440X00C18A9EAF000/