米国は今回、アラスカ先住民の捕獲枠を6年に1度要求する時期に当たり、日本は「特別扱い」を求める米国の協力に期待。w



捕鯨 日本手詰まり IWC脱退、慎重論強く
https://mainichi.jp/articles/20180917/k00/00m/020/074000c

毎日新聞2018年9月16日 22時22分(最終更新 9月16日 22時29分)
ブラジルで14日(日本時間15日)に閉幕した国際捕鯨委員会(IWC)総会は、商業捕鯨再開など日本の提案を否決する一方、鯨類保護を推進する宣言を採択した。
日本は強く反発し、政府・自民党内ではIWC脱退論まで浮上。
しかし、脱退すれば調査捕鯨の継続さえ危うくなるため慎重論が根強く、日本は手詰まりの状況に陥っている。
総会で日本は4年ぶりに商業捕鯨の再開を提案した。
ミンククジラなど資源が豊富な鯨種に対象を絞る一方、反捕鯨国の協力を取り付けるためIWCの決定手続きの要件緩和をセットで提案したのが特徴だ。
重要事項の決定には4分の3以上の賛成が必要だが、捕鯨支持国(41カ国)、反捕鯨国(48カ国)とも届いていない。
日本は決定要件を過半数に引き下げ、禁漁区の設定が容易になるよう反捕鯨国に配慮する提案を行った。
反捕鯨国の米国は今回、アラスカ先住民の捕獲枠を6年に1度要求する時期に当たり、日本は「特別扱い」を求める米国の協力に期待。
他の反捕鯨国も反対表明をしない消極的支持を取り付けるシナリオを描いた。
議長は約半世紀ぶりの日本人で、「商業捕鯨再開の最後のチャンス」(農林水産省幹部)と期待した。
だが、思惑は外れた。先住民の捕獲枠は12日に早々と認められ、13日には開催国ブラジルが鯨類保護に向けて提案した「フロリアノポリス宣言」が賛成多数で可決された。
法的拘束力はないが、保護を重視するIWCの姿勢を印象付けた。
一方、日本提案は反捕鯨国の反発を招き、最終日の14日に賛成27、反対41で否決された。
先住民捕鯨の議論を終えた米国も反対した。
否決後、谷合正明副農相は「締約国の立場を根本から見直し、あらゆるオプションを検討する」とIWC脱退の可能性に言及し、自民党議員も「脱退の選択肢は当然ある」と語った。
しかし、その後、政府関係者は「脱退とは決めていない」と火消しに回った。
慎重論が根強いのは、南極海などで行っている調査捕鯨の継続が難しくなるためだ。
南極条約はIWC、国連海洋法条約は国際機関と連携した資源管理を求めており、IWC脱退後に調査捕鯨を行えば条約の規定に抵触する恐れがある。
国際社会で大きな反発を招いて外交問題に発展しかねず、日本は事態打開の展望を描けていない。
【加藤明子】