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安倍政権と民主党政権における完全失業率の改善要因の違い

しかし、第二次安倍政権と民主党政権における完全失業率の改善要因はまったく異なる。図表4は完全失業率の差の要因分解を行い、第二次安倍政権と民主党政権とを比較したものだが、
民主党政権時における完全失業率の改善(−1.1%pt)は、就業者数減少(+0.74%pt)、非労働力人口の増加(−1.62%)、15歳以上人口の減少(−0.22%pt)により生じたものである。
いうなれば景気の悪化が進むことで就業者数が減り、非労働力人口が増えることで職を求める人々が労働市場から退出したことがこの時期の失業率改善の理由である。

一方で2012年12月以降の完全失業率の改善は、景気の改善が進むことで職を求める人々が新たに労働市場に参入することで非労働力人口が減り、就業者数が増えたことで生じているということだ。

確かに雇用の「質」の改善は重要だが、就業者数が増え、有効求人倍率が高まり、就業者のバーゲニングポジションが高まらない限り、雇用の質の改善はないだろう。
就業者数の増加と比べて質の改善が進まないからといって就業者数を増やした政策を批判する理由にはならないのである。

図表4 完全失業率の差の要因分解による比較
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