これこそが、NATO欧米諸国が、シリア内戦=親露アサド政権転覆を画策した大きな理由の一つ
プーチンの下で再編されつつあったロシア海軍が、NATO海軍の浴槽だった地中海に艦隊を常設編制するつもりであることを
公にしたのがシリア内戦勃発4〜5年前くらいのことだった
この21世紀の南下政策を挫くためには、ロシア海軍の地中海における唯一の足場、シリアはタルトゥースにある海軍補給処を
どうにかしなければならなかったのだが・・・

だが現実はこの通り、NATO側の目論見とは真逆の方向へ転がりつつある
内戦の結果、シリアのアサド政権はますますロシアへの傾斜を強めて、タルトゥースを本格的な海軍基地へと拡張整備する
ロシアとの協定にサインしたばかりでなく、タルトゥースをエアカバーするフメイミム空軍基地の開設とロシア空軍の常駐まで承認した
ロシアにとっては既定路線だったかもしれないが、ここまでトントン拍子に軍事的な進出計画が進むことは平時ではあり得なかったろう

しかも内戦による影響はシリア国内に留まらず、虚々実々の駆け引きと右往左往を経て、隣接するトルコがNATO同盟諸国内で孤立し、
ロシアに擦り寄り始めてしまった
言うまでもなく、NATO枠内における有事のトルコの役割とは、ロシア黒海艦隊が地中海へ出撃してくることを阻止する「蓋」である
もしこの海峡の蓋が機能しなくなり、ロシア海軍の黒海艦隊と地中海常設連合艦隊が密接に連携するようになったら、
東地中海の制海権はほぼロシア側に移ってしまう