北海道胆振(いぶり)地方を震源とする地震で、最大震度7の揺れを観測した厚真町では15日、大勢のボランティアが駆けつけた。活動が始まって初めての3連休で、町内の災害ボランティアセンターでは1000人以上の参加を見込んでいる。その一人、宮城県多賀城市の大場万太郎さん(80)は2011年の東日本大震災で被災し、「恩返し」の気持ちで活動を続けている。【宮原健太】

 「後ろをもっと持ち上げて」。15日、公務員の片岡英治さん(58)の自宅庭。30センチほど地面にめり込んだ農業用フォークリフトを持ち上げようと、ボランティア約10人で作業にあたる中、声をかけたのがワイシャツ姿の大場さんだった。

 片岡さんの自宅は地震の揺れで沈み込み、内外の壁にはひびが入っている。部屋のドアがゆがみ、タンスは倒れたままだ。片岡さんは地震でベッドから投げ出されて足にけがをしており、妻明子さん(47)は「1人、2人で何とかなる作業ではない。とても助かる」と胸をなでおろした。

 元農協職員の大場さんは東日本大震災で被災した。自宅は無事だったが、敷地内に止めた車は津波にさらわれ、近所では知り合いも亡くなった。「まさか、自分が災害に遭うとは……」。ショックで落ち込む中、励みになったのが被災地に駆けつけたボランティアだった。「本当にありがたくて、勇気をもらった」と振り返る。

 被災後、ボランティア活動を本格化させ、16年の熊本地震、今年7月の西日本豪雨では現地に駆けつけた。今回も自宅から車をフェリーに載せて向かい、9日に現地入り。町内の災害ボランティアセンターの開設も手伝った。

 この日は4軒で、壊れた冷蔵庫やタンスなどを運び出した。町内で喫茶店を営む野田喜代さん(65)はガスコンロや机を出してもらい、「ようやく片付けが進みそうだ」とほっとした表情を見せた。

 大場さんは来月上旬まで、車中泊を繰り返しながらボランティア活動を続けるつもりだ。「被災者のために少しでも力になれれば」。活動後、笑顔でそう語り、額の汗を拭った。

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