※たまたまスレ

中国のメディアは、北海道大震災を自国民にこう伝えた 報道を4類型に分けてみると…

■4つの傾向

9月6日午前3時8分に北海道で発生した最大震度7の大地震は、40人以上の死者を出し、一時は道内の全域が停電状態に陥るという非常に深刻な被害をもたらした。その数日前に関西地方を襲った台風21号の被害と合わせて、日本の天災は中国メディアでも大きな話題となっている。

今回の記事では、北海道地震に対する中国側の報道について考察を加えてみることにしよう。被害の規模をストレートニュース的に伝えたものを除くと、中国側の北海道地震の報道には大きく4つの傾向が見られた。

1.「中国人は見た」被災体験系

※省略

※9月6日、被災地での外国人犯罪発生のリスクを煽るツイッターの投稿。右派系のネットユーザーが書き込み、炎上した。
https://gendai.ismedia.jp/mwimgs/b/9/400/img_b90acf9b8e9676e7cbd8e55dfe8334cb144907.jpg

北海道地震に限らず、近年は大規模な災害の発生時に、在日外国人の被災地での犯罪リスクが、ネット上などでさしたる根拠もなく煽られる例も増えている。

■「電子マネー使えず」への強い関心

2.救援体制や避難所の様子を伝える系

※省略

3.インフラ問題を論じる系

4.「海外にいても国民を救うエラい中国」アピール系

地震の数日前に発生した、台風21号による関西空港の孤立化事件も含めて、近年の中国において国外の天災が報じられる際に最も顕著なのが「エラい中国」アピールだ。

関空事件の際には、中国大使館がいち早くバスを手配して中国人客を救出した……ということになっているのだが、中国ではこの事件が大きく報じられ、「偉大な祖国」「中国よ、愛している」といった旅行客自身のSNS投稿のスクリーンショットが、さまざまな報道で広く出回った。

北海道地震においても、9月8日付けの新華社が「雪中に炭を送るぬくもり 地震後の中国人旅行客が札幌で祖国と同胞より温かい配慮を受ける」と題した記事を載せるなど、領事館の取り組みを肯定的に報じる記事が散見される。

例えば上記の新華社記事によれば、札幌華僑会館が同胞を対象に無料の食事と宿泊を提供したとのこと。三重県から北海道への旅行中に被災した中国人留学生の鄒さんは「ここに避難して本当によかった。シューマイと小龍包を食べられるんだ!」と喜んだそうである。

もっとも、被災した鄒さんがシューマイを食べただけなら美談なのだが、新華社記事の後半部分は、華僑総会と合わせて領事館への感謝の声が上がっていることを強調する内容だ。読者である中国国民向けに「国家からのご恩」を強調する目的があるらしい。

また、中国メディアが台湾の報道を引用する形ではあるが、関空や北海道の被災地で中国人がすぐに領事館の救援を受けているのに台湾人は放っておかれている――、という在日台湾人や台湾人旅行客の不満をあえて紹介するような記事も少なくない。

日本の天災報道にかこつけて、台湾の蔡英文政権を批判したり、中国人がいかに優遇されているかを中国国内向けにプロパガンダするのが、「党の喉と舌」の役割を担わされている中国の大手メディアの仕事なのだ。

(なお、孤立化した関空に中国領事館がいちはやくバスを送り込んで中国人観光客を救出したとの情報については、一種の官製フェイク・ニュースだったとする「産経新聞」の報道がある。http://www.sankei.com/smp/world/news/180911/wor1809110024-s1.html

■東日本大震災報道との違い

近年の日本で発生した最大の大規模災害と言えば、2011年の東日本大震災がある。だが、この2011年当時と、今年2018年の中国の報道を比較すると、わずか7年の差にもかかわらず明らかな傾向の違いがあるようだ。

例えば、東日本大震災のときは大災害でもパニックに陥らない日本人や日本社会の「民度」の高さを称賛するような中国側報道が目立ったが、今回はこの手の称賛はそれほど多くない。

いっぽうで「中国領事館は被災した同胞の救援に励んでいる」という、自画自賛的に中国国内向けのナショナリズムを煽るような論調は、以前と比べて増えた印象がある。中国国内の災害報道とより近い報道姿勢に変わったとも言えそうだ。

以下全文はソース先で

2018年9月15日
現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57502