0001ガーディス ★
2018/09/17(月) 06:50:51.59ID:CAP_USER9「ちょっといいですか。藤川さんの視力はいくつですか?」。一九九五年六月十二日、横浜家裁の経理係長だった藤川さんに上司の男性が小声で切り出した。
「裸眼で〇・〇いくつか、眼鏡をかけて〇・四ぐらいです」。藤川さんが答えると、上司は「名前を貸してもらえませんか? 役所は体の不自由な人を何%か雇わなければならない。しかし、当庁(横浜家裁)では二人いるだけ。届けないといけないから」と頼んだ。国は障害者雇用促進法に基づき、省庁や地方自治体などに年に一度、障害者雇用率の報告を求めている。
藤川さんは「私の視力ぐらいの人は大勢いる。対象者は例えば、腎臓透析を毎週受けなければいけない人では」と指摘。上司は「ただ名前を貸すだけ」と説得したが、断った。
当時の同僚の男性も、上司から「冗談交じりみたいな感じで持ち掛けられたことがある」と証言した。
上司だった男性は取材に「自分が新たに藤川さんに声を掛けたわけではなく、既に障害がある分類に入っていると引き継ぎにあったので、(年に一度の)報告に当たって確認のために声を掛けたと記憶している」と認めた。本人が知らないうちに障害者と扱われていたとみられる。
元上司は「当時の管理職は障害者雇用率という数値目標を認識していた」と説明。法で認定される障害者の基準を詳しく知らなかったといい「どういう方を障害者と数えるのか、もっと意思統一をしていればこういうことは起きなかったのでは」と振り返った。
「知らないうちに障害者扱いされていたのならもっとひどい。残念だ」とため息をつく藤川さんは「二十年以上たった今も水増しがされている。これでは障害者が仕事に就けない」と憤る。
横浜家裁の長谷川哲也総務課長は「現在、調査している」と話す。
障害者雇用数の水増しは国の行政機関の八割に当たる二十七機関で判明し、三千四百六十人に上った。全国の裁判所や国会でも、国のガイドラインに反して計約四百四十人を不正算入していた。
◆中部でも雇用水増し
中部六県の自治体でも障害者雇用数の不適切な算定が相次いで判明している。
岐阜県教委では、二〇一八年度に雇用していた二百二十五人のうち五十六人が障害者手帳を持っておらず、有効な診断書も確認していなかった。
三重県では県教委が実際より三十五人多く計上、雇用率は2・14%となり法定値を下回った。県警でも一七年の算定対象者となった九人のうち六人が障害者手帳を持っていなかった。
福井県警も障害者手帳を確認せず、健康診断結果などから本人の了解を得ずに障害者と見なしていた。滋賀県と県教委は一八年度の雇用人数を実際より計二十四人多く算定していた。
長野県は法定雇用率の対象者を十一人多く算定。実際は八十八人で、雇用率は法定値を下回る2・34%だった。
愛知県豊橋市は、障害者として雇っていた職員九人が厚生労働省の認定条件を満たしていない可能性があると発表した。同県豊川市も、障害者手帳を持っていない職員二十二人を含めて市全体の雇用率を算定。実際は法定値を大きく下回る1・38%だった。福井市や福井県鯖江市、三重県熊野市でも算定の誤りなどが判明している。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018091502000242.html