大阪北部地震 公共施設でアスベスト露出 天井など破損
毎日新聞2018年9月18日 06時30分(最終更新 9月18日 06時30分)
https://mainichi.jp/articles/20180918/k00/00m/040/130000c

 18日で発生から3カ月となる大阪北部地震では、有害物質のアスベスト(石綿)を覆う天井や部材が壊れ、図書館や公民館、学校の教室が使えなくなる事態が起きた。石綿の飛散防止対策を講じていても、揺れによって建物が損傷すれば、石綿が露出するリスクがあることが改めて示された。専門家は「公共施設は避難所として使われる可能性がある。除去しておくことが望ましい」と指摘している。

 「天井の破損等により長期間休館します」
 大阪府寝屋川市の総合センターの入り口には、4階にある中央図書館の閉鎖を知らせる張り紙が掲げられている。同センターは図書館に加え、市の福祉部門や中央公民館も入居する複合公共施設。しかし6月18日に発生した地震から3カ月がたっても図書館と公民館は閉まり、再開の見通しは立っていない。天井などが破損し、再び大きな揺れに襲われた場合、天井裏などにある石綿が飛散する可能性を否定できないためだ。
 6月の地震で寝屋川市では震度5強の強い揺れを観測。築45年を超える同センターは、公民館の研修室や図書館がある4階フロアの天井が30カ所以上損傷。天井裏に石綿を含んだ吹き付け材があり、すぐに立ち入り禁止の措置が取られた。
 舞台裏に石綿の吹き付け材がある2階の講堂も使用中止に。27年前に薬剤で固める対策工事をしたが、地震後に調べた結果、劣化が進んでおり崩れて飛散する恐れがあると判断した。
 市の担当者は「これほどの揺れは想定していなかった。過去の工事で石綿を除去しておけばよかったのかもしれない」と話す。
 同府箕面市の府立箕面東高校では、渡り廊下や視聴覚室の天井の部材が落ち、吹き付け材がむき出しになった。府教委は天井をシートで覆うなどの対策を取り、石綿を改めて覆う工事を進める。府教委は、除去しない理由を「除去工事でも全部は取り切れない可能性が高い。しかも長期間の工事が必要で、関係者に不便を強いる」と説明する。
 石綿問題に詳しい「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」(東京都)の永倉冬史事務局長は「公共施設は地震の際に避難所として利用される可能性があり、石綿が残っていることは望ましくない。覆ったり、薬剤で固めたりする飛散防止対策はあくまで一時的なものと考え、早めに取り除くべきだ」と話す。【大久保昂】
アスベスト(石綿)
 天然の繊維状の鉱物。耐火性が高く、かつては建材や工業製品などに用いられた。吸い込むと中皮腫や肺がんなどを発症するリスクがあるため、国内では現在、使用が全面的に禁止されている。