【朝鮮日報】 韓国が「中国はG2」という幻想から覚める時 米日がなぜ今後も重要なのかが明らかになるはずだ [09/01]


米中貿易摩擦が経済戦争レベルに達している。しかし、ゲームの勝敗は既に米国の圧倒的優勢との見方が大勢だ。先月初め、
米国が340億ドル規模の中国からの輸入品に25%の追加関税を適用し、中国が直ちに同様の措置を取った時点では互角とみられていた。

しかし、米国が2000億ドル規模の中国製品に10%の追加関税をかけて報復すると、全てが沈静化した。中国は再報復を事実上放棄した。

これは中国が善人になったからではない。両国の国力の差が歴然としており、貿易戦争が長期化すれば、中国が言う「目には目を歯には歯を」という対等な報復が不可能だからだ。
貿易戦争の渦中でも米国経済は完全雇用状態で、13年ぶりに3%台の経済成長を問題なく達成する見通しだ。

一方、中国経済は生産、消費、投資が急減し、警告灯が随所にともった。上海総合株価指数は年初来25%下落。1−7月の中国の固定資産投資伸び率は過去23年で最低となった。

最初から中国には勝ち目がないゲームであることが明確だったのだが、それを悟るまでに韓国にはなぜ長い時間が必要だったのか。

最近まで米中経済摩擦に関する研究報告やメディア報道は、誰が見ても両国が対等の力を持っていると誤解しやすいものだった。
これは米国と対等な超大国・中国に対する先入観が韓国人に根付いているためだ。

中国に対する幻想の原因はさまざまだが、「中国はあまりに大きい」という威圧感が中心にある。中国の急速な経済膨張は規模の圧力を倍加させた。

さらに、中国にあこがれる韓国の伝統的なムードも一因となった。さらに決定的なのは、米国が中国に与えた「G2」という用語だった。全世界のどこにも「G2」という用語を韓国ほど多用する国は存在しない。

10年余り前、米国が中国を「G2」と呼び、中国を立てた本音は別のところにある。「中国は米国と対等なレベルに成長したのだから、大国として国際的義務を果たせ」という意味だった。

米国の狙いを見破った中国は「G2」という用語を拒否した。最近中国外相が「中国は開発途上国にすぎない」と訴えたのは、
そうした現実認識を示すものだ。中国が拒否した用語を韓国が愛用するというのは皮肉だ。

世の中には最も強大な国が二つあり、両者の力は対等だという考えが韓国国内で根づいているが、今回の米中経済戦争は「中国=G2」だという韓国人の幻想を打破する過程だとも言える。



米国が中国との経済戦争で最終目標としているのは、中国が蓄積した経済力に基づいて行使しようとしている影響力をそぐことだ。結局は世界の覇権を巡り展開されるパワーゲームだ。そこにはあらゆる手段が総動員されるはずだ。

関税適用といった通商摩擦は序章であり、人民元、中国の外貨準備を狙った通貨戦争が後に控えているはずだ。さらに、中国金融市場の完全開放と自由化が終着点となる金融戦争にまで
発展するという予測が可能だ。そこに改革が遅れる中国国内の矛盾が加われば、中国経済がハードランディングする可能性も否定できない。

こうした中で、韓国は中国にどう対するべきか。ありもしない「G2神話」に基づき、政府と企業、一般人が根拠なき「中国恐怖症」にとらわれてはならない。

中国は1970年代後半に改革開放路線を取って以降、一度も経済危機を経験していない。致命的な経済危機に直面した後、その克服過程を見た上で中国経済の能力を判断しても遅くない。

一方、韓国は今年初め、人口5000万人以上の経済主体として、1人当たり国民所得が3万ドルを超え、世界主要7カ国に浮上した。
韓国経済は過剰投資の後遺症克服(1980年代初め)、アジア通貨危機の克服(90年代末)という歴戦経験がある。質的に韓国と中国の経済レベルは比較にならない。

そして、韓国の繁栄は解放後に資本主義の最強国である米国、もう一つの強国である日本の影響下で可能だったことは特記すべきだ。
これは単純な大陸勢力と海洋勢力による二分法ではない。最も豊かで持てる国から学び、緊密に交流したことが重要だった。

今後感情的な親中や恐中、そして中国に対する幻想を捨てなければならない理由はもちろん、米日がなぜ今後も重要なのかが明らかになるはずだ。