2018/09/24 06:34
台風21号の襲来時、島内全域の2万人近くに避難指示(緊急)が発令された神戸市東灘区の六甲アイランド(六アイ)で、対岸と結ぶ六甲大橋の出入り口付近が大規模に冠水するなど全てのアクセスが断たれ、約3時間にわたり孤立状態に陥っていたことが23日、分かった。六アイにある東灘消防署の出張所も同時期に浸水したため、市消防局の応援部隊が潜水服で冠水箇所を乗り越え島内に入り、徒歩で移動して救助要請などに応じた。六アイは入居開始から30年たったが、孤立化は阪神・淡路大震災の翌日、対岸のガスタンク損傷による避難勧告で橋の通行が禁止されて以来とみられ、市は対策を急ぐ。(霍見真一郎)

 市みなと総局によると、六アイの北側にある六甲大橋の出入り口が冠水したのは、4日午後1時半ごろ〜同4時半ごろの約3時間。橋と接続する東西方向の幹線道路が少なくとも1キロ以上水に漬かり、橋自体は通行止めではなかったものの、事実上、車が出入りできない状況に陥っていた。

 一方、阪神高速は4日午後0時15分〜5日午前4時、湾岸線で六アイと対岸を結ぶ六甲アイランド大橋を含め、通行止めにした。神戸新交通も4日午後0時45分〜同5時7分、六甲ライナーの運転を見合わせた。

 台風は同日午後2時ごろ、神戸市付近に上陸。同市の海上では高潮が過去最高潮位となる233センチを観測し、各所で浸水が相次いだ。兵庫県が作成したハザードマップで津波の浸水想定区域に入っていない東灘消防署六甲アイランド出張所も、午後2時10分ごろ、浸水で消防車1台、救急車1台が出せなくなった。午後3時には、島内全域に避難指示(緊急)が出された。

 市消防局指令課などによると、孤立状態にあった時間中、六アイでは救助要請や車両火災など計15件の通報が入った。だが、同出張所の浸水以降、島内で対応できたのは浸水前に出動していた消防車1台だけ。応援要請を受けて同消防局の特別高度救助隊(6人)と北消防署専任救助隊(3人)が駆け付け、六甲大橋の上に車を置いて、隊員が潜水服を着て午後3時50分、六アイに入った。隊員は徒歩で島内を移動し、救助要請などに対応。孤立化から解消まで偶然、救急要請はなかった。

 同消防局は、今回の事態を重く見て、台風が最接近する2時間前には、出張所の消防車などを島内の比較的高い場所に待避させることを決めた。みなと総局も、国が設置した大阪湾の高潮対策検討委員会での議論なども踏まえ「浸水対策について、方法を含めしっかり検討する」としている。

 神戸市の山平晃嗣(てるつぐ)危機管理監は「台風時に孤立状態となる可能性を前提とした対策について、みなと総局と共に考えたい」と話している。

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