https://www.bbc.com/japanese/45662199

ロシア反体制活動家が中毒症状、「情報機関の仕業」と批判
2018/09/27

ロシアの反体制パンク・ロックバンド「プッシー・ライオット」のメンバー、ピョートル・べジロフ氏が毒を盛られたとされる事件で、ベジロフ氏はロシア情報機関の犯行だと批判した。

ドイツ紙ビルトによると、ベジロフ氏は「他の結論がありえないほど、犯行はプロの手法で行われた」と話した。

ベジロフ氏は14日、裁判所での聴聞後に体調を崩し、目が見えなくなり、口もきけなくなった。その後、ベルリンで治療を受けていたが26日に退院している。

ビルトによると、ベジロフ氏は2週間前の事件にロシアの諜報サービス、「恐らくロシアの連邦軍参謀本部情報総局(GRU)」が関わっていると「固く信じて」いると語った。

ベルリン・チャリテ病院は18日、ベルジロフ氏は「中毒症状」で治療を受けていると声明を発表した。
病院関係者は、同氏の体内に毒物の痕跡はなかったものの、毒物以外に症状を説明できないと考えている。

ベルジロフ氏は、症状が「他の毒物」よりも早く出たため、「毒の新種混合物」を盛られたのかもしれないと話している。
自分が毒を盛られた理由は、2つ考えられるという。

1つは、7月に行われたサッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会の決勝戦に、同氏を含むプッシー・ライオットのメンバー4人が乱入したことだという。この件で4人は短期間、収監された。

もう1つは、「アフリカで殺された3人のロシア人ジャーナリストについて」調査していたためという。

著名な戦争記者だったオルハン・ジェマリ氏(51)、ドキュメンタリー監督のアレクサンドル・ラストルグエフ氏(47)、カメラマンのキリル・ラドチェンコ氏(33)の3人は今年7月、中央アフリカ共和国で車で移動中に襲撃され、殺害された。

3人は中央アフリカ共和国で活動するロシアの民間軍事会社、ワーグナー・グループの戦闘員について調査していた。
ベルジロフ氏は、3人の死を調査していたことが「W杯の事件よりも(毒を盛られた)原因となった可能性が高い」と考えている。

事件の前日、ベルジロフ氏は3人の死について情報を得たと話していた。ビルトの取材では「まだ公にはできないが、いくつかのニュースがある」と述べた。
ベルジロフ氏は症状が改善したらロシアに戻るつもりだという。
恋人のベロニカ・ニクルシナさんは、「ピョートルに毒を使った人物は、同じことをすると思う。だから戻ってほしくない」と語った。

「でもピョートルのことは止められない」

(英語記事 Pussy Riot's Verzilov 'poisoned by Russia')

病院職員は、ベルジロフ氏の症状は毒物によるものだとみている
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ベルジロフ氏は医療用航空機でベルリンに搬送された
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