https://jp.reuters.com/article/japan-us-trade-talks-instantviews-idJPKCN1M705Z

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2018年9月27日 / 04:31 / 12時間前更新
日米貿易交渉入りで合意、協議中は車関税回避:識者はこうみる
[東京 27日 ロイター] - 日米両政府は米東部時間26日(日本時間27日未明)、2国間のモノの貿易を自由化する物品貿易協定(TAG)の締結に向けた交渉を始めることで合意した。

トランプ米大統領と首脳会談を行った安倍晋三首相は同日、交渉の継続中は米国が各国に対して検討している自動車への追加関税は、日本に対して発動されないことを確認したと明言した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●米国の強硬姿勢になお警戒

<大和証券 チーフグローバルストラテジスト 壁谷洋和氏>

結果的には先送りかもしれないが、この段階で自動車への関税引き上げの方向性が決まってしまえば相当ネガティブだった。これを回避できたことに関してはポジティブと受け止められる。今後は、日本側がどこまで米国側の要求をのむかだろう。牛肉やコメをはじめ、農産物の輸入をどこまで拡大するかということがポイントとなりそうだ。

(安倍政権としては)支持率との兼ね合いもあり、一方的に米国からの要求をのむことは難しい。日本側はTPP(環太平洋連携協定)で決められた枠以上の部分は譲歩したくないと考えているが、自動車については「聖域」のように扱っている面があった。米国が改めて自動車の部分に踏み込んでいくような動きをみせた場合、日本としてはあまり強く出ることができなくなる恐れがある。

中国や欧州、NAFTA(北米自由貿易協定)を巡る米国の一連の強気な姿勢を考慮すると、日本に対しても強硬姿勢をとる可能性は消えていない。政治基盤の安定が日本株の上昇の前提になっていることを考えると、支持率に揺らぎが生じれば相場の先行きに不透明感が出てくる。

●難航しても株式市場への影響は軽微

<りそな銀行 チーフマーケットストラテジスト 黒瀬浩一氏>

日本に対する自動車関税引き上げについては、もともとトランプ大統領が不用意に発言したに過ぎず、政権内で意見が固まっていたわけではない。今回の日米交渉の結果、自動車への追加関税は行わず、日本側は農産物の輸入で譲歩するという方向性が決まったとみている。交渉は今後も難航するだろうが、農産物の問題であれば、株式市場への影響はほとんどない。日本株は目先的に急上昇の反動安があっても強い基調は続くとみている。