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香川照之さんが起業 昆虫柄の服、着ようぜ
2018年9月26日 6:30

カマキリ先生が起業――。俳優の香川照之さん(52)が昆虫のイラストをあしらった子供服のインターネット通販などを手がける新会社、アランチヲネ(東京・港)を設立した。大の昆虫好きで知られ、「カマキリ先生(メス)」の役名でNHKのテレビ番組にも出演する香川さん。子供たちが自然や環境問題について考えるきっかけとなれば、と起業の狙いを話す。

香川さんは社長に就き10月から営業を始める。登記簿によると、会社設立は8月。資本金は700万円で、株主であるモブキャストホールディングスから藪考樹社長が取締役に就いた。モブキャストは俳優で歌手の柴咲コウさんが最高経営責任者(CEO)を務めるレトロワグラース(東京・港)にも出資している。

アランチヲネはイタリア語で「オレンジ」を意味する単語から名付けた。子供服を中心としたアパレル販売と、香川さんと交流したり議論したりするオンラインサロンを事業の柱とする。10月からサロンの会員募集を始める。

アパレル販売では、カマキリやホタルといった昆虫のイラストをあしらったシャツなどを11月末から売り出す。収益の一部を自然教育や昆虫保護団体に寄付するなど、衣類を通じて環境問題への理解を深めてもらう仕掛けを考えているという。将来的には雑貨や文具などに品ぞろえを広げる。

人気俳優の香川さんは46歳で歌舞伎、52歳で起業家としてもデビューすることになった。「もともと子供時代から地球や自然に興味があったのに加えて、昆虫番組で野山を駆け巡り、かつてと昆虫の生態が変わっていることに驚いた」といい、自然教育の重要性を感じて今回の起業に至った。

事業を通じて「子供たちにもっと自然に触れてほしいし、能動的に考え判断できるようになってほしい」という。

俳優としての活動と並行して、経営に関わる。「自分自身の表現方法の1つで、同じ畑から違う野菜を収穫するようなもの」。事業の拡大に向けて投資家からの資金調達なども計画している。  (若杉朋子)

[日経産業新聞 2018年9月26日付]