「喫煙者は採用不可」。

企業がこうした条件を掲げる動きが出ている。
背景には健康意識の広まり、2020年東京五輪・パラリンピックを控えた受動喫煙防止対策強化、
社会保障費抑制などの影響があるとみられ、導入企業からは「仕事の効率が上がった」などの声もあがる。
一方で「差別だ」などとする反発もあり、議論を呼んでいる。(社会部 今村義丈)

■導入企業「好評価」

「困難はなく、むしろ『喫煙ゼロを理由に御社を選んだ』と評価された」。
1月、建設業界ではめずらしく、喫煙者不可を採用条件に明示したリフォーム会社「メッドコミュニケーションズ」(東京)の担当者は効果をこう振り返る。

 従業員の喫煙ゼロを目指し始めたのは3年前。「現場がたばこ臭かった」という複数の顧客の苦情がきっかけだった。
取引先からは「魅力的」「提携したい」と反応があり、約120人いた喫煙者は禁煙治療への手当支給などで2年でゼロを達成。
「強制はしなかったが、『喫煙できる場所を探すわずらわしさもなく、仕事の効率が上がった』などと好評で、
採用条件に格上げするのは自然だった」という。

約15年前から喫煙者を採用していない大阪の一級建築士事務所「アトリエm」の守谷(もりたに)昌紀代表(48)は、
現場の防火も理由のひとつとした上で、「役に立つための仕事で、人に迷惑をかける可能性があることはしてはならない。
顧客に引き渡す商品の場ではなおさら」と話す。

今年6月発表の経営目標で2020年までの全従業員「卒煙」を掲げたロート製薬(大阪)は、
採用条件には明示していないが「目標達成後は喫煙者採用は事実上お断りすることになるかもしれない」とする。

■喫煙者減り分煙進み

■明確な説明必要

一方、喫煙者不採用の動きには議論も出ている。
厚生労働省によると、企業は適正と能力のみを基準に人権を尊重した選考が求められるが、
同省担当者は「合理的理由で明記したなら認められる」とし、法的には問題はないと説明する。

ただ、作家や弁護士らで作る「喫煙文化研究会」の山森貴司事務局長(46)は「喫煙だけを理由に採用まで拒む考え方は根本的に危うい」と訴える。

4月、IT関連企業「div」(東京)の社長が職場の健康や生産性を理由にツイッターで「喫煙者は一切採用しない」と宣言した際には、
ネット上では「飲酒でも肥満でも民族や性別でさえ、会社にとってリスクがあったら同じようにできてしまう」との懸念も噴出した。

山森氏は、においにも配慮した気配りやルールを厳守する「美しい分煙」を提唱。
「それでも個人の行動や好みが不採用の基準になるのであれば、容姿や性的マイノリティーへの差別と何が違うといえるのか」と疑問を投げかける。

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http://www.sankei.com/premium/news/180930/prm1809300015-n1.html