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55年ぶりの女性受賞者 ノーベル物理学賞、レーザー研究で
2018/10/03 3時間前

ポール・リンコン、BBCニュースウェブサイト科学編集長

ノーベル物理学賞が、55年ぶりに女性に贈られた。

カナダ・ウォータールー大学のドナ・ストリックランド博士(59)は、1903年のマリー・キュリー氏、1963年のマリア・ゲッパート=マイヤー氏に続き、同賞を受賞した3人目の女性となった。

ストリックランド氏は、米ベル研究所出身のアーサー・アシュキン博士(96)および米ミシガン大学のジェラール・ムル博士(74)と共に、レーザー物理学分野での功績が認められた。

アシュキン博士は生物系の研究に使われる光ピンセットと呼ばれるレーザー技術を開発した。

ムル氏とストリックランド氏は、最も短く強力なパルスレーザーを作り出すことに成功した。「チャープ・パルス増幅(CPA)」と呼ばれるこの技術は現在、がんのレーザー治療や、毎年何百万回と行われている視力矯正手術に使われている。

ストリックランド博士はBBCに対して、ノーベル物理学賞が50年以上もの長い間、女性に授けられていなかったことが「驚きだ」と語った。

博士はその一方で、自分自身は「常に平等に扱われてきた」と強調し、「今回は男性2人も受賞していて、私と同様に受賞にふさわしい人物だ」と話した。

物理学界では9月末、欧州原子核研究機構(CERN)が主催したワークショップで、男性科学者が物理学は「男性によって成り立った」と発言し、「非常に攻撃的な」講義を行った。

CERNは1日、この科学者を即日、出入り禁止処分とした。

ストリックランド博士はこの物理学者の発言について「馬鹿げている」と述べ、こうしたコメントを「自分自身に向けられたものと」受け止めないできたと話した。

1963年にノーベル物理学賞を受賞したマリア・ゲッパート=マイヤー氏はドイツ生まれの米国人で、原子核の殻構造に関する発見が称えられた。

ポーランド生まれのマリー・キューリー氏は夫のピエール・キュリー氏およびアンリ・ベクレルと共に、放射能研究の功績が認められて同賞を受賞した。
同賞の賞金は900万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)。
(リンク先に続きあり)

(英語記事 First woman Physics Nobel winner in 55 years)

ドナ・ストリックランド博士
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/1832D/production/_103671199_strickland5.jpg