朝霞市で2014年、少女を誘拐して約2年間監禁したとして、監禁致傷と未成年者誘拐、窃盗の罪に問われた寺内樺風被告(26)の控訴審初公判が3日、東京高裁(若園敦雄裁判長)で開かれた。弁護側は懲役9年とされた一審さいたま地裁判決について、責任能力の事実誤認などを訴え、検察側は「控訴は棄却されるべき」とした。

控訴審初公判で弁護側は、一審判決での責任能力の事実誤認と量刑不当を主張。検察側は、監禁の物理的拘束が緩やかであったなどとした一審判決について、犯行の悪質性や被害の重大性が正しく評価されていないと指摘した。弁護側が主張した被告人質問は却下された。

 さいたま地裁で2017年に開かれた公判で「森の妖精です」など不規則発言を繰り返した寺内被告は、控訴審では、白いワイシャツに黒いスーツ姿で入廷すると、真っすぐ前を向いて立ち、「寺内樺風です」とはっきりとした口調で述べた。最後に裁判長から今後の審理の流れについて説明されると、「はい。理解しました」などと答え、終始落ち着いた様子だった。

 一審判決によると、寺内被告は14年3月10日、朝霞市内で当時中学1年の少女に、「両親が離婚することになった」などとうそを言って車に乗せて誘拐。16年3月にかけて約2年間、千葉市や都内の当時の自宅マンションの一室で監禁し、少女に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたとされる。弁護側は犯行時、被告は統合失調症にかかっていたなどとして限定責任能力を主張していた。

 一審さいたま地裁は今年3月、懲役9年の判決を下し、弁護、検察側とも判決を不服として控訴していた。次回公判は11月7日に開かれる。

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