周知のように鹿内信隆氏は、フジサンケイグループ会議の議長で、産経新聞社
の社長を務めた、日本のメディア界の重鎮だった。

 その鹿内氏が証言するフィリピンでの日本軍の行状は、実に恐るべきものであ
る。

 日本軍の南進は、建前上は東南アジア諸国を欧米の植民地から解放するための
ものであった。しかし、マニラに進駐した日本軍には、鹿内氏が語る裏の顔があ
った。

 マニラに日本軍が侵攻したため、フィリピンの各島からマニラ大学に進学して
いた女子学生が島に帰れなくなった。その女子学生たちは、「方々の島々の豪族
の娘たち」だったという。

 そして、鹿内氏が知った戦況報告によれば、その女子学生たちを、「日本の将
校がいただくわけだ。それが、いかにすばらしいかという報告で終始一貫おわっ
ちゃったわけ」というのである。

 対話者の桜田氏もあまりにひどい話なので絶句するが、鹿内氏は、「話としち
ゃ面白いよね。戦争中の話ですから。その女子大生が日本の将校のえじきになっ
たという報告があったのが、ぼくには非常に刺激的な印象としていまも残ってい」
るというのだから、呆れ果てた話であろう。

これ以上、明々白々たる強制売春の証言はないだろう。なにしろ、証言者は、吉
田某のような得体の知れない人物ではなく、日本のメディア界を代表する著名人
なのだから。