【カイロ=佐藤貴生】サウジアラビアの反体制ジャーナリストがトルコにあるサウジ領事館に入った後、行方不明となり、ロイター通信は6日、複数のトルコ政府当局者が領事館内で殺害されたとの見方を示したと伝えた。

 両国の関係が悪化する可能性がある。

 行方不明になったのはサウジ人ジャーナリストのジャマル・カショギ氏。結婚に必要な書類を整えるため、2日にトルコの最大都市イスタンブールのサウジ領事館に入ったが、出てこないため敷地外で待っていた婚約者が警察に届けた。

 トルコ政府当局者は6日、「初動捜査では、彼は館内で殺害された。殺害は計画的で遺体は敷地外に運び出された」と述べた。トルコの治安当局者は、カショギ氏が領事館に入った2日、サウジ人15人がイスタンブールに来て同館に出入りしたと述べ、身元確認を進めていると述べた。

 サウジ政府当局者は「カショギ氏は来館したが、まもなく外に出た。館内におらず拘束もされていない」と説明。サウジ領事館は6日、館内に記者らを招いて内部を案内し、殺害への関与を否定した。

 カショギ氏はサウジによる昨年6月のカタールとの断交や、イエメン内戦への軍事介入を批判。昨年、米国に事実上亡命して米紙ワシントン・ポストなどに寄稿していた。

 米国務省も関心を持って情報収集していると明らかにするなど、波紋が広がっている。トルコはサウジが断交した後のカタールに食料を送って支援。トルコが支持するイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」をサウジは「テロ組織」と呼ぶなど立場の違いが目立ち、関係が冷え込んでいた。

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