河野太郎外相は7日、アフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合後の共同記者会見で「アフリカで質の高い国際標準に合致するプロジェクトがあれば日中が協力してやる可能性は大いにある」と述べた。中国は巨額の経済援助でアフリカでの影響力を強め、一部の国の財政悪化を招いている。第三国協力の枠組みによって中国に国際標準に沿った援助を求める。
閣僚会合は7日、都内で2日目の討議を終え閉幕した。52カ国が参加し、24カ国から外相級が出席した。2019年8月に横浜市で開く首脳会合に議論の成果を生かす。

主要なテーマとなったのがインフラ開発の際に中国から過剰債務を受け、返済見通しが立たなくなる「債務のわな」の問題だ。日本側は新たな公的資金を受けられなくなり、外貨が不足して経済に大きな影響が出る懸念を指摘した。議長声明では「援助する国と、援助を受ける国の双方に債務の持続性の確保が求められる」と指摘した。
日本政府は16年に3年間で300億ドル規模の投資を実施すると表明したが18年9月時点での実績は約160億ドル。河野氏は会見で「進捗はしているが十分とは言えない」と指摘。過剰債務の問題が生じた一部の国への円借款が滞ったと説明した。

アフリカ連合(AU)の議長国ルワンダから出席したンドゥフンギレへ外務・協力・東アフリカ共同体(EAC)担当相は記者会見で「日本の投資を大歓迎する。日本企業の投資でインフラ技術の移転に期待しているからだ」と述べた。
日中両政府は9月に第三国での経済協力に向けた官民合同委員会を発足させた。こうした枠組みでアフリカ開発も議論する方針だ。

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