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トルコ政府、サウジ政府批判の記者は領事館で殺害と 結婚用の書類を取りに
2018/10/08 7時間前

サウジアラビア人で同国政府に批判的だった著名記者、ジャマル・カショギ氏(59)がトルコ・イスタンブールで消息を絶っている。トルコ政府関係者は7日、記者がサウジアラビア総領事館で殺害されたようだとBBCに話した。米紙ワシントン・ポストにも定期的に寄稿していたカショギ記者は、2日昼に総領事館を訪れる様子が確認されている。領事館には、結婚に必要な書類を取りに行ったのだという。

トルコ与党・公正発展党の関係者はCNNトルコに対して、カショギ記者がイスタンブールのサウジアラビア領事館で殺害されたという確かな証拠があると話したが、具体的な証拠の提示はなかった。

サウジアラビア政府は疑惑を否定し、カショギ記者の「捜索に協力」していると主張した。

カショギ記者はワシントン・ポストの論説に定期的に執筆していた。同紙は4日、カショギ記者の記事が掲載予定だった面を空白にして掲載した。論説面の責任者、フレッド・ハイアット氏は7日、「もしジャマル殺害の情報が本当なら、これは恐ろしい、想像しがたい行為だ」と非難声明を発表。「ジャマルは、熱意と勇気を備えた記者だった……記者だ、と言えるよう願っている。国を愛し、人間の尊厳と自由を深く信頼する心をよりどころに文章を書く。自分の国で、中東で、そして世界中で尊敬されている」と書いた。

結婚のため書類を取りに

カショギ記者は、トルコ人婚約者ハティス・チェンギス氏と結婚を控え、元妻との離婚証明書を取得するため、トルコ総領事館を訪れたという。

チェンギス氏は、総領事館の前で11時間待ったものの、カショギ記者は出てこなかったと話している。

チェンギス氏によると、カショギ記者は総領事館に入る際に携帯電話を係員に預けた。これは一部の外交公館では通常の手続きだ。
記者は、もし自分が戻らなかったらトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の顧問に連絡するよう、チェンギス氏に指示していたという。
ハティス氏は、カショギ記者の写真と共に、「ジャマルは死んでない。殺されたなんて信じられない……!」とツイートした。殺害情報が飛び交うと、正式な確認を待っていると書いた。

中略

<解説> ただでさえきしんでいた両国関係――マーク・ローウェンBBC記者(イスタンブール)

トルコ政府による爆発的な告発だ。現地当局はまだ裏づけの証拠を提示していないが、これほどの内容を確かな根拠なしに主張するとは考えにくい。トルコ政府にとって、サウジアラビア政府との関係は、根も葉もないうわさの犠牲にできるような軽いものではない。

しかし両国関係は、いくつかの問題ですでにきしんでいた。サウジアラビアなどによるカタール経済封鎖に際して、トルコはカタールを支援した。イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」をサウジアラビア政府はテロ組織認定しているが、トルコは同胞団を支援している。サウジアラビアの仇敵イランとも、トルコは融和姿勢を見せている。

北大西洋条約機構(NATO)に加盟するトルコは、同盟国・米国からの支援を期待するだろう。しかし、ドナルド・トランプ政権にとってサウジアラビアは中東最大の同盟国になりつつある。それだけに、米政府が現時点ではサウジアラビア政府に働きかけることはないかもしれない。

(英語記事 Jamal Khashoggi: Turkey says journalist was murdered in Saudi consulate)