その文学部の4年生は、もう84日間も内定にありついていなかった。

人々は、彼はもうサラオになってしまったのだと言った。

サラオとは、スペイン語で「もうダメだ」という意味だ。

彼が必死で企業を回る間、建築学科の同輩は形のいい大きな内定を4つも釣り上げていた。

彼が毎朝、リクルートスーツに身を固め自己紹介書を山ほど詰めた大きな鞄を持って都心へと向かう電車に乗る姿は、

後輩たちにとって永遠の敗北者の旗印としか見えなかった。