<台風被害>落葉、変色、枯死… 塩害で秋の行楽に暗雲 
10/10(水) 21:29配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181010-00000101-mai-soci

 台風24号による塩害が、秋の景観を売りにする千葉県内の観光地に影を落としている。紅葉のピークを前に落葉した木々や、見ごろの最中に枯死した花もあり、関係者からは秋本番に向けて集客への影響を心配する声が漏れる。【斎藤文太郎】

 「関東一遅い紅葉」をうたい、秋には紅葉目当てのたくさんの観光客が訪れる養老渓谷(千葉県市原市、大多喜町)。養老渓谷観光協会の担当者によると、市原市街地と渓谷を結ぶ小湊鉄道の上総大久保駅や上総久保駅の周辺にあるイチョウは写真撮影のスポットとして人気だが、台風の通過後は海側の葉が散ったり、枯れたように変色したりしているという。

 渓谷沿いのモミジも例年なら緑色の葉を付けるころだが、一部は木に付いたまま茶色に変わった。紅葉の見ごろは11月下旬から12月上旬で、11月23日には恒例の「もみじまつり」が開かれるが、「きれいな紅葉を多くの人に見てほしいが、どうなるか不安」(担当者)という。

 千葉市美浜区の海浜幕張公園内にある日本庭園「見浜園」では、園内のモミジ約20本のうち3分の1が塩害の影響を受けた。影響があるのは建物などに囲まれず海風に直接さらされたモミジで、ほとんどの葉が落ちて地面に散り積もっている。例年はまだ緑の葉が付いているモチノキやクスノキなどの常緑樹も海側の葉だけ変色した。11月17日から庭園内のライトアップを行い、例年赤く色づいたモミジが来園者を楽しませるが、楠田知子所長は「葉が落ちたモミジを照らしても……」と嘆く。モミジ以外の松の雪づりなどを照らしたり、近隣の子どもたちが描いた絵を展示したりして、集客を図るつもりだ。

 また、同区の三陽メディアフラワーミュージアム(千葉市花の美術館)では、見ごろを迎えていたコスモス約2500株のうち、約3分の2が枯れた。園芸担当の田中愛さん(37)によると、台風で海から飛ばされた塩分が花びらや葉にこびりつき、中の水分を奪ったという。台風通過後には花壇に「おわび」と書かれた看板を設置し、「新しく芽吹かないかと経過を見守っているところです」と記している。

 田中さんは「台風の通過後に塩を洗い流す作業をしたが間に合わなかった。10月末の植え替えまで見ごろが続くと思っていたので残念だ」と唇をかむ。長男(2)と来園した同市稲毛区の会社員、久保田翔大さん(35)は「頑張って育ったのにかわいそう。散歩がてらまた立ち寄って応援したい」と話した。