台風で銭湯の70%超に被害 再建諦め廃業も 大阪
2018年10月11日 5時09分台風21号
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181011/k10011666691000.html

猛烈な風による被害が広がった先月の台風21号で、大阪府内にあるおよそ400軒の銭湯のうち70%余りで、煙突が折れるなどの被害が出ていたことが、銭湯で作る組合の調査でわかりました。中には再建を諦め廃業を決めたところもあるということです。
各地で猛烈な風が吹いた先月4日の台風21号では、大阪府で8人が死亡し、5万棟近くの建物に被害が出ました。

この台風の被害について、大阪府公衆浴場組合が加盟する銭湯を対象に緊急の調査を行ったところ、府内にある404軒のうち、73%に当たる296軒の銭湯で被害が出ていたことがわかりました。

ほとんどは瓦が飛んだり、浴場の天窓が壊れたりといった屋根の被害で、すでに多くが営業を再開していますが、中には煙突が折れるなどの大きな被害が出た銭湯も6軒あったということです。

また、組合によりますと、台風21号の被害を理由に今も休業をしている銭湯は少なくとも12軒、再建を諦めて廃業を決めた銭湯は4軒に上っているということです。

大阪府公衆浴場組合の宮前博一理事長は「大阪には長年、大きな台風が来ていなかったので、メンテナンスがされていなかった銭湯もあった。高齢の経営者が多く、大きな修繕はできないので、行政の助けをいただき少しでも存続できるようにしてほしい」と話しています。
休業の銭湯「長い間やってきたのに」
大阪 東大阪市の銭湯、「長瀬温泉」では台風21号の影響で高さおよそ20メートルのコンクリート製の煙突が折れて浴場の屋根などにぶつかりました。けが人はいませんでしたが、煙突の修理に多額の費用がかかるため、銭湯を経営する町口英雄さん(69)は60年続いた銭湯を休業することを決めました。

台風21号の被害
先月4日、台風21号が接近した大阪では関西空港で統計を取り始めてから最も強い58.1メートルの最大瞬間風速を観測するなど猛烈な風が吹き荒れました。

大阪府のまとめによりますと、台風21号の影響で、強風で飛んできたものにぶつかったり、屋根から転落したりして8人が死亡、485人がけがをしたほか、住宅13棟が全壊、225棟が半壊するなど合わせて4万9965棟の建物に被害が出ました。

町口さんは「設備が古くなり、これまでも廃業を考えたことがありましたが、常連客からの励ましで続けてきました。今回は修理費用が高額で直すことができません。長い間やってきたのに僕の代で終わらせるのはしんどいですね」と話していました。
高齢化で銭湯は年々減少
大阪府公衆浴場組合によりますと、大阪府内の銭湯は、昭和43年の2358軒をピークに年々減少を続けています。

背景には家庭用の風呂の普及に伴って利用客が減少していることや、経営者が高齢化し、後継者がいないことなどがあるということで、平成17年に1000軒を下回ってからは年間数十軒のペースで減少を続け、8月末までに404軒となっています。