「娯楽の狩猟」の倫理的、経済的問題
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かつてのアフリカは「限りない自然の供給源」のようだったと、ライオン研究で知られる米国の生物学者クレイグ・パッカーは言う。だが今や野生生物の生息地はどんどん縮小している。
「ライオンは絶滅危惧種になろうとしています。保護に有益な効果があるという明確な証拠を示せないのなら、娯楽としてのライオン狩りはやめるべきです」

 いずれにせよ、ライオン保護に関しては、「娯楽としての狩猟がもたらす資金は微々たるものです」とパッカーは言う。
「その証拠に、これらの国々でも何年も前からライオン狩りが許可されていますが、ライオンの数は激減しています」。
国際自然保護連合によると、タンザニアの五つの個体群では、1993〜2014年までに個体数が3分の2も減ったという。

たとえばタンザニアのセルース猟獣保護区では、2009年まではおよそ5万頭のゾウがいたが、今では1万5000頭程度になっている。
野生生物保護の研究者カタルジナ・ノワックは問いかける

「世界中からトロフィー目当てのハンターがやって来て、その収益が保護と密猟対策に充てられたのなら、こんなにゾウの数が減るはずはないでしょう」